為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米FOMC会合結果を見極める展開
【先週の概況】
■米政府機関の一時再開合意もドル・円は上げ渋る
先週のドル・円は上げ渋り。中国の2018年10-12月期や通年の国内総生産(GDP)の低下や国際通貨基金(IMF)が2019年の世界経済成長予想の下方修正を発表したことから、ドルの上値は重くなった。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「ハイレベルでの米中協議が予定通り開催される」との見方を示したことや、英国のEU離脱延期の可能性が高まったことを意識してリスク回避の円買いは縮小し、ドル・円は一時110円00銭まで上昇した。日本銀行が2019年のインフレ見通しを引き下げ、緩和的な金融政策は長期間維持されるとの思惑が広がったこともドル買い・円売り材料となったようだ。
25日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時109円95銭まで反発。トランプ米大統領と議会指導者がつなぎ予算案で合意し、政府機関を2月15日まで再開することが決まったことを好感して、リスク選好的なドル買いが観測された。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)はバランスシートの縮小ペースを緩めるとの思惑が浮上し、ドル買いは一服。ドル・円は109円55銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは109円15銭から110円00銭となった。ドル・円の取引レンジ:109円15銭-110円00銭。
【今週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米FOMC会合結果を見極める展開
今週のドル・円は上げ渋りか。欧州経済の減速や欧州連合(EU)からの英国の離脱(ブレグジット)交渉を巡る不透明感から、欧州通貨売り・米ドル買いによるドル選好地合いは継続する可能性がある。米政府機関の一時再開(2月15日まで)が決まったことは、ドル買い材料になりそうだが、今週29-30日開催の米連邦公開市場委員会でバランスシート縮小のペースを見直すことが議論される可能性があるため、市場参加者の間では「FOMC会合前にリスク選好的なドル買いが広がる可能性は低い」との声も聞かれている。
ブレグジットに関しては「合意なきEU離脱」への過度に悲観的な見方は薄れ、離脱延期の観測からポンド買いに振れている。ただ、期待先行のためリスクも大きく、1月29日に予定されている議会採決で、ブレグジット合意代替案が否決された場合、リスク回避のポンド売りが再び強まる可能性がある。
そうした背景からドル選好地合いとなり、ドル・円は110円台を回復しても不自然ではないだろう。ただ、今回のFOMC会合で利上げ休止または利上げ終了について議論された場合、米国金利の先高観は大幅に後退し、ドル売り・円買いが活発となる可能性もある。市場関係者の多くは2019年に2回以上の利上げが行われる可能性は極めて低いと予想しており、米利上げペースの鈍化が改めて意識された場合、ドルの上値はやや重くなるとみられる。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)速報値】(30日発表予定)
30日発表予定の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+2.5%となる見通し。成長率は4-6月期の+4.2%、7-9月期の+3.4%から徐々に鈍化しているが、市場予想と一致すれば、リスク回避的なドル売りが拡大する可能性は低いとみられる。
【米・連邦公開市場委員会(FOMC)】(1月29-30日開催予定)
米FRBは1月29-30日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。政策金利は据え置きの公算。日本時間31日午前4時にパウエル議長の記者会見が予定されており、ハト派寄りの発言内容で利上げ鈍化への思惑からドル売りに振れやすい見通し。
予想レンジ:108円50銭-111円00銭
《FA》
提供:フィスコ