為替週間見通し:米経済見通し改善でリスク回避のドル売り抑制も

通貨
2019年2月2日 14時46分

【先週の概況】

■米経済見通し改善でドルは下げ渋る

先週のドル・円は下げ渋り。1月29-30日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利を据え置くことが予想通り決定されたが、声明文で利上げを休止する可能性があることを示唆し、バランスシート縮小についても柔軟な姿勢を表明したことを受けて、リスク回避的なドル売りが優勢となった。ドル・円は一時108円50銭まで下落した。

しかしながら、米中貿易協議についてライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「進展があった」との見解を伝えたことから、リスク選好の円売りが優勢となった。日本、中国本土の株式が底堅い動きを見せたこともドル買い・円売り材料として意識され、ドル・円は108円台後半で下げ渋った。ユーロ、豪ドル、NZドル、カナダドルなどの他通貨に対する円売りも観測された。

1日のニューヨーク外為市場でドル・円は、108円88銭から109円58銭まで上昇した。この日発表された1月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったことや、その後発表された1月の米ISM製造業景況指数と1月の米ミシガン大学消費者信頼感指数確報値はいずれも市場予想を上回ったため、米国経済の見通しは改善し、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は109円52銭でこの週の取引を終えた。

・ドル・円の取引レンジ:108円50銭-109円74銭

【今週の見通し】

■米経済見通し改善でリスク回避のドル売り抑制も

今週のドル・円は下げ渋りか。1月29-30日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合結果やFOMCの声明内容を受けて、利上げ休止観測が広がったが、2月1日発表の1月米雇用統計は市場予想を上回る強い内容だったことや、米中協議は進展しているとの見方が広がっていることから、年内追加利上げの可能性が再浮上した。ユーロ圏経済の減速傾向は変わっていないことを考慮すると、リスク回避のドル売りは目先的にある程度抑制される可能性が高いとみられる。

2月4-8日週に発表予定の米経済指標(確定ではないが10-12月期国内総生産など)が低調な結果となった場合、リスク回避のドル売りが再び強まる可能性があるものの、米長期金利が伸び悩んだ場合、豪ドル、NZドル、南アランドなど資源通貨はドルに対して強い動きを見せる可能性があり、日本円との金利差を意識した円売りも増えると予想されていることから、米国金利の先高観は後退してもリスク回避のドル売り・円買いは拡大せず、ドル・円は下げ渋る可能性がある。

【米・1月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)

5日発表の米1月ISM非製造業景況指数は57.3と、12月の58.0を下回る見通し。好不況の節目となる50は大幅に上回るものの、昨年秋以降は伸び悩んでおり、1月分の数字が市場予想を下回った場合、ドル売りにつながろう。

【米・10-12月期国内総生産(GDP)速報値】(4-8日週に発表予定)

今週中に発表される予定の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+2.6%と予想されている。4-6月期は前期比年率+4.2%、7-9月期は同+3.4%と成長率は徐々に鈍化しており、10-12月期の成長率がさらに低下した場合、今年前半の利上げシナリオは大幅に後退しそうだ。

予想レンジ:108円00銭-111円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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