新興市場見通し:「サンバイオショック」も徐々に落ち着き、決算本格化で個別物色
先週の新興市場では、マザーズ指数の急落が大きな話題となった。マザーズ時価総額トップだったサンバイオ<4592>が1月29日、再生細胞薬の慢性期脳梗塞を対象にした臨床試験で主要評価項目を達成できなかったと発表。同社株は翌30日から3日連続で売り気配のまま取引時間中に値が付かなかった。個人投資家のマインドが悪化し、バイオ株を中心とした他のマザーズ銘柄にも売りが波及する場面があった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.1%であったのに対して、マザーズ指数は-8.4%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。
個別では、前述のサンバイオが週間で50.1%安となり、マザーズ下落率トップだった。マザーズ時価総額トップの座はメルカリ<4385>に譲った。他のバイオ株ではそーせいグループ<4565>が同14.0%安となり、オンコリスバイオファーマ<4588>なども売られた。前の週に活況を見せたサイバーダイン<7779>だが、先週は利益確定売りに押され同10.2%安と軟調。また、サンバイオとともにアズーム<3496>やパルマ<3461>が下落率上位に顔を出した。一方、直近IPO銘柄のKudan<4425>は同20.7%高と強い値動きが続き、業績上方修正を発表したジャパンインベストメントアドバイザー<7172>(JIA)も同19.1%高と上げが目立った。週間のマザーズ上昇率トップはSBIインシュアランスグループ<7326>だった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同6.3%高、ワークマン<7564>が同6.2%高と堅調。セリア<2782>は第3四半期決算を受けて急伸し、同15.6%高となった。売買代金上位ではブロードバンドタワー<3776>がリリースを手掛かりとした物色を集め、ジェクシード<3719>が週間のジャスダック上昇率トップだった。反面、日本エマージェンシーアシスタンス<6063>は直近の株高による過熱警戒感から売りがかさみ、バイオ株のラクオリア創薬<4579>も大きく売られて下落率上位に顔を出した。
今週の新興市場では、決算を手掛かりとした個別物色中心の展開となりそうだ。注目のサンバイオは制限値幅の拡大を受けて、週明けにも取引時間中に売買が成立するものとみられる。これまで新興市場のけん引役だった銘柄の株価急落による個人投資家への影響は小さくなく、引き続き同社株の動向に一喜一憂する場面はあるだろう。しかし、新興市場は比較的早く落ち着きを取り戻しつつある。新興市場でも主力企業の決算発表が本格化し、好業績株を中心に買いが向かいそうだ。
今週は、2月5日にラック<3857>、ジーンテクノサイエンス<4584>、6日にワークマン、7日にミクシィ<2121>、UTグループ<2146>、メルカリ、フリークアウト・HD<6094>、日特エンジニアリング<6145>、JIA、8日にハーモニック、メイコー<6787>、MTG<7806>などが決算発表を予定している。JIAは前述のとおり前期業績の上方修正を発表済みで、今期予想が注目される。足元で月次売上が好調なワークマンも関心を集めそうだ。
IPO関連では、2月6日から識学<7049>、8日からリックソフト<4429>と東海ソフト<4430>がブックビルディング(BB)期間に入る。また、先週は日本国土開発<1887>(3月5日、東証1部または2部)やウイングアーク1st<4432>(3月13日、東証1部または2部)の新規上場が発表されている。
《FA》
提供:フィスコ