富田隆弥の【CHART CLUB】 「抵抗線下割れ」
◆V字回復が続くNYダウは6日に2万5439ドルまで上げ、12月3日高値2万5980ドルにあと500ドルと迫ってきた。ナスダックは6日に7410ポイントまであり、12月3日高値7486ポイントが指呼の間だ。年初からこれほど一本調子の上昇が続くとは想定できなかったが、ただ、米中閣僚級協議、FOMC、雇用統計、決算と続いた重要イベントをことごとく「イイとこ取り」で上げてきた面は否めない。2月、3月は調整しやすいアノマリー(経験則)もあり、ここから調整しやすいことはやはり想定しておきたい。
◆一方でパッとしないのが日本株だ。日経平均株価は5日に2万0981円まで上げるが、ネックライン2万1000円に届きそうで届かない。1月21日に高値2万0892円を付けてから足踏みは3週間になる。日足チャートは一目均衡表の先行スパン(「雲」2万0586~2万0953円)に差し掛かり、10月2日高値(2万4448円)から引く上値抵抗線が2万1000円近辺に降りてきて、12月26日安値(1万8948円)から引く下値抵抗線と2万1000円近辺で三角保ち合いを煮詰める形になってきた。そして、騰落レシオ(25日線)は5日に133%を、RCI25日線は4日から91%を続けるなど、テクニカル指標には高値信号が灯る。こうなると上下抵抗線からの放れの方向が一つのポイントになるが、7日に122円安の2万0751円引けとなり「下放れ」を示唆してきた。
◆日本株の足取りが重い要因には、中国景気の鈍化、軟調な決算、勤労統計問題、マンネリ化のアベノミクスと日銀黒田節などが挙げられるが、理由はともあれ「流れに従う」のがチャートの基本。25日移動平均線の2万0500円処が下値の節になるが、V字回復の米国株がもし調整に転ずるなら日経平均はツレ安を免れず、2万0500円処の節を維持できるか疑問になる。当面の日経平均は1万9500~2万1000円のもみ合いをイメージしているが、「節分天井、彼岸底」という格言もあるだけに、チャートが下放れを示唆したここでは一旦スタンスを慎重に傾けるのも一策となろう。
(2月7日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース