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保障よりも運用向き? シンガポールの生命保険

特集
2019年2月21日 11時00分

株探プレミアム・リポート

筆者:奈良井太志(Taishi Narai)

早稲田大学を卒業後、新卒で国内企業に入社した後にシンガポールに渡る。現在、現地のスタートアップで就労中。

保険

シンガポールから帰国する駐在員に人気の金融商品があるという。それは生命保険。帰国が決まった駐在員の中には、わざわざ現地にいるあいだに保険を組んでから帰国の途につく人もいるそうだ。

でも、どうして生命保険が人気なのだろうか。

高い利回りが魅力

まず、利回りが格段に違う。払い込んだ保険料の総額と返戻金の比率を示す返戻率でみると、シンガポールで販売されている商品の場合、例えば加入から25年後の返戻率が205%と支払った保険料の2倍以上の金額が戻ってくる。平均利回りは4~5%ほどだ。

一方、日本の終身保険だと、30年間支払い続けて満了後に一括で受け取る場合、せいぜい110%程度といったところだ。例えば、オリックス生命の終身保険「ライズ」 では、保険料を30年間払い続けた後の返戻率が109.9%、平均利回りは0.33%にとどまる。

保険期間が長くなっても、平均利回りは1%に満たない。例えば40年後で見た場合の返戻率は115.6%で平均利回りは0.39%、50年後では120.9%で0.42%だ。銀行に預けてもすずめの涙程度の利息しか受け取れない低金利時代には、悪くない利率だと感じるかもしれないが、運用益を期待して預けるには物足りなさが残る。

しかし、シンガポールの保険の貯蓄性は段違いだ。筆者が実際にシンガポールの代理店で薦められた、マニュライフの「ReadyBuilder」という貯蓄性の高いプランを例に取ろう。

例えば25歳の時に加入して、保険料の2万4000シンガポールドルを10年にわたって月200ドル、分割で払い込んだとする。すると、加入から25年後(50歳時)の返戻率は205.5%だ。その後も、45年後(70歳時)に466.5%、60年後(85歳時)に839.0%と、運用期間が長いほど増えていく(同社パンフレットより、年利4.75%での試算)。

■マニュライフ・シンガポールが扱う終身保険「ReadyBuilder」の返戻率の推移

マニュライフ・シンガポールが扱う終身保険「Read Builder」の返戻率の推移

注:25歳時に契約、月額200シンガポールドル(SD)を10年間払い込んだ場合。

()内は返戻率。平均利回り4.75%で資産

出所:同社パンフレットより筆者作成

この商品を販売する代理店の担当者によると、受け取り時には一括で受け取るか、分けて取り崩す形で受け取るかを選べるそうだ。分割だと、残金には引き続き複利効果が働くので、早い時期に一括で受け取ってしまうよりも、最終的に受け取る金額は多くなる。

なお、この利回りは保険会社の運用成績と連動している。成績が悪ければ利回りも低くなるということになるが、当地の保険は会社が保証する「保証利回り(Guaranteed)」と、運用によって上下する「非保証利回り(Non-Guaranteed)」の二段階に別れている。

仮に運用成績が悪くても、保証利回り部分の金額は保険会社によって保証されており、その金額を割り込むことはない。この保証金額は年々増えていくので、元本を上回る時点まで寝かせることができれば、基本的にはプラスになって返ってくるのである。

途中解約した場合、払い込んだ保険料の総額より返済されるが返戻率が100%を割ることもある。上の保険商品の場合、契約から10年に満たない場合、その可能性はあるが、非保証利回りの運用次第で7年程度で返戻率100%を超える可能性もあるという。

■保証利回りと非保証利回り

保証利回りと非保証利回り

シンガポールの終身保険の利回りは二段構え。会社が利回りを保証する部分と、利回りの保証はないが運用成績によっては大きく伸びる非保証部分に分かれている。

また、もちろん「生命保険」なので、死亡時や高度の障害が残った場合には払込を停止して、すぐに保険金を受け取ることが可能だ。

この利回りの高さは、日本と海外との環境の違いから来ている。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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