トレードワークス Research Memo(1):2020年以降の成長基盤構築に向け、戦略投資を実行する1年に

特集
2019年3月8日 15時01分

■要約

トレードワークス<3997>は証券会社やFX会社等の金融業界向けに特化した独立系システム開発会社である。インターネット証券取引システムを中心に、ディーリングシステムや不公正取引監視システム等の開発、クラウドサービス(SaaS※型サービス)を展開している。証券会社向けが売上高の約9割を占める。証券知識に精通したエンジニアの育成に注力しており、競合と比較して低コスト・短納期を実現しているほか、多様な顧客ニーズに対応できる開発力を持っていることが強みとなっている。2017年11月に東証JASDAQ市場に上場した。

※SaaS…Software as a Serviceの略称で、クラウドを利用した「顧客に対し必要な機能の提供」を行うサービス形態。

1. 2018年12月期業績概要

2018年12月期の業績は、売上高が前期比45.2%増の2,011百万円、営業利益が同132.6%増の509百万円と大幅増収増益となり、過去最高業績を4期連続で更新した。第1四半期に納品した大型システム開発案件(新規顧客向けインターネット証券取引システム)を中心に、主力の金融ソリューション事業の売上高が前期比50.1%増収と大きく伸長したことが増収要因となった。利益面では、増収効果に加えて開発案件ごとの生産性向上により原価率の改善が進んだこと、また、販売費及び一般管理費の抑制に取組んだことが大幅増益につながった。

2. 2019年12月期業績見通し

2019年12月期業績は、売上高が前期比4.8%増の2,109百万円と連続増収となるものの、営業利益は同40.9%減の301百万円と減益となる見通し。前期のような大型システムの開発案件はないものの、売上高の4割強を占めるストック型収入の積み上げや新規開発案件の受注を獲得していくことで増収を見込んでいる。一方、利益面では将来の持続的な成長を実現する体制構築を図るため、戦略投資を実行することが減益要因となる。具体的には、2019年4月に本社移転・増床を行うとともに、人員についてもエンジニアを中心に積極採用を図り、また、クラウドサービスの拡大に対応するため、データセンターの強化も進めていく計画となっている。本社移転関連費用は一時費用を含めて40?50百万円の費用増要因(引越費用、賃借料の増加等)として計画に織り込んでいる。

3. 今後の成長戦略

金融業界では今後も、AIやIoT等の先進技術を活用した新たなサービスに対するシステム開発投資が拡大してくものと見込まれている。同社はこれら先進的かつ多様な顧客ニーズに対して、技術と金融知識を持ち合わせた専門性の高い開発力を強みに、既存顧客での売上深耕と新規顧客の開拓を進めながら成長を目指していく。また、収益の安定性を高めるため、従来のパッケージ開発からストック型ビジネスとなるクラウドサービスに軸足をシフトしていく方針となっており、ストック型収入の売上構成比を現在の4割強から将来的に6割強の水準まで引き上げていく考えだ。新規市場としては暗号通貨(仮想通貨)や年金、保険業界などへの取組みも進めていく。暗号通貨に関しては、法規制が固まってから開発がスタートする見込みとなっており、今後の動向が注目される。なお、2020年12月期については、2019年末にリリース予定のシステム開発案件(SaaS型サービス)の提供が開始されることもあり、増収増益路線に復帰するものと弊社では予想している。

■Key Points

・金融業界に特化した独立系システム開発会社で、金融知識も併せ持つエンジニアによる低コスト・短納期開発に強みを持つ

・2018年12月期は大型システム開発案件の寄与により大幅増収増益を達成

・エンジニアの採用・育成強化と事業領域の拡大により高成長を目指していく戦略

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

提供:フィスコ

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