植木靖男氏【新年度相場始動! 日経平均“急発進”で見えたもの】(1) <相場観特集>

特集
2019年4月1日 18時30分

―新元号発表と合わせスタートダッシュ、上値思惑広がる?―

名実ともに4月新年度相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が一時470円強の上昇をみせるなどスタートダッシュを決め、リスク選好ムードの強い地合いとなった。ただ2万1500円を上回ると戻り売り圧力が強まるのは相変わらずで、後場は上げ幅を縮小している。春相場は強気満開となるのか、それとも再び嵐に見舞われ花びらを散らすことになるのか。相場観に定評のあるベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「カネ余り追い風に2番天井を探す展開に」

植木靖男氏(株式評論家)

東京株式市場は新年度入り早々に強さを発揮した。前場は新元号発表を控えた慶祝ムードが全体相場に高揚感を与えた意味合いもあり、日経平均は目を見張る上昇をみせた。後場はさすがに伸び悩んだが、足もとは上値に対する期待感が再燃している。

現在の相場を取り巻く環境は、ひと言でいえば“カネ余り”で、これが経済のファンダメンタルズとはややカイ離した形で株価に活力を与えている。その意味では反動安も警戒しておく必要はあるが、株価上昇はそれ自体が資産効果をもたらすため、今後経済の実勢を引き上げる役割を担うことも考えられる。したがって一概に足もとの株高が思惑先行で実の伴わないものとは言えない。

また、これまでは中国景気の厳しさを売りのネタにしていたが、中国政府が景気刺激策を強く打ち出した効果が数字として反映され始めた。3月の製造業PMIが景気の拡大と縮小のボーダーとなる50を5ヵ月ぶりに上回ったことは、それなりにインパクトがある。これがトリガーとなって売り方が慌て気味に買い戻しを入れた、というのが週明けの相場の実態ではなかったか。米中貿易協議に対する思惑が、最近は不安から期待の方に傾いている点もポジティブに働いている。

とはいえ、ここから日経平均がグングンと上昇するような地合いでもなさそうだ。個人的には昨年10月2日の2万4448円(ザラ場ベース)の高値を抜くことは難しいとみている。ここからは2番天井を探しに行くプロセスで、差し当たっては3月4日につけた戻り高値2万1860円を通過点にどこまで行けるかという相場だと思っている。米国株の動向に左右されやすいが、基本的に4月、5月の日経平均は2万~2万2500円のゾーンでの推移が続きそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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