新元号は「令和」! 新時代幕開けで「投資マネーが向かう株・総検証」 <株探トップ特集>
―5月1日皇太子さま即位で改元へ 「令和」でビジネスチャンスが広がる銘柄とは―
菅義偉官房長官は1日午前11時40分過ぎから首相官邸で記者会見を行い、5月1日から施行される新元号が「令和(れいわ)」に決定したと発表した。また、安倍晋三首相は、正午過ぎから改元に関する首相談話を発表し、「令和」について「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。
きょうの発表から、実際に皇太子さまが新天皇陛下に即位され新元号が施行される5月1日に向けて、国民の新時代への関心が一段と高まるものとみられる。これに伴い、今後さまざまな分野での消費拡大に拍車が掛かりそうだ。改元に伴い、新元号の記載が必要となる印刷物の更新や、コンピューターシステムの改修など直接的な特需はもとより、国民的な慶祝ムードの盛り上がりが想定されるなかでの“記念消費”的な関連需要の高まりにも期待が寄せられる。また、新時代の到来に関連して、今年は特例として4月下旬から5月上旬にかけて10連休が実現することで、幅広い業種でビジネスチャンスの拡大が想定されそうだ。
●国民の慶祝ムードが景気浮揚に貢献
天皇陛下は4月30日に退位され、皇太子さまが5月1日に即位される。皇太子さまは、同日の天皇ご即位後に改元の政令を公布される。新元号決定から施行までの今後1ヵ月間は国民の新時代への関心が一段と高まりそうだ。今回の改元は、天皇陛下のご意思による生前退位に伴う新天皇の即位となることから、文字通りの“新たな時代の幕開け”として、従来にも増して国民全体に慶祝ムードが高まることが予想され、これが景気浮揚に貢献することが見込まれる。
市場関係者からは「昭和生まれの自分にとって“令和”の表記は親しみやすく違和感は全く感じない。今年は10月から消費税率の引き上げが予定されているものの、慶祝ムードの高まりやイベント関連需要の拡大により個人消費が予想以上に堅調に推移する可能性もある」との見方が出ていた。
●新元号への更新で印刷各社に特需発生
新元号関連銘柄としては、改元に伴いさまざまな書類などの更新需要が見込める印刷関連の企業がまず挙げられる。凸版印刷 <7911> 、大日本印刷 <7912> の大手2社は幅広い分野での活躍が見込まれる。更に、オンデマンド印刷にも注力し、企業向けBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスも展開している共同印刷 <7914> 、商業印刷、包装・資材に加え、ラベル印刷も行う野崎印刷紙業 <7919> [東証2]、書籍や雑誌などの出版印刷を事業の柱にし、アート性の高いカレンダーには定評がある図書印刷 <7913> 、文房具、シュレッダーの販売も手掛け、特に情報通信や保険などの個人情報を含む書類を扱う業界に定着している「封筒一体型印刷物」や、窓付き、ミシン目入りなどの加工付き封筒も手掛けるナカバヤシ <7987> がある。一方で、紙幣や硬貨に刻印する元号の変更などに伴い、通貨を認識するメカニズムの改修需要で恩恵が想定される日本金銭機械 <6418> 、グローリー <6457> 、ムサシ <7521> [JQ]にも注目したい。
●IT・ソフトウェア業界もシステム更新で需要に拍車
また、IT・ソフトウェア産業でも「平成」から「令和」への改元に伴う需要が見込めそうだ。業務・組み込みソフト開発を手掛ける独立系SI会社のシステナ <2317> 、クレジットカードなど金融系に強みを発揮するTIS <3626> 、小売向けや地方銀行向けのITコンサルティング、システム構築などが好調のフューチャー <4722> 、中小企業向けERPパッケージ「奉行シリーズ」を手掛けるオービックビジネスコンサルタント <4733> 、請求書の印字など情報処理、発送作業の受託を手掛け、改元に伴いビジネスフォーム受注の増加が期待されるカワセコンピュータサプライ <7851> [東証2]などにもビジネスチャンスが広がりそうだ。
●“あやかり婚”など記念消費関連にも恩恵
新時代の幕開けに伴って“あやかり婚ブーム”の到来が予想されるブライダル関連では、テイクアンドギヴ・ニーズ <4331> 、IBJ <6071> 、アイ・ケイ・ケイ <2198> 、ワタベウェディング <4696> なども追い風が見込まれる。一方、記念イベント関連では、広告大手の電通 <4324> 、博報堂DYホールディングス <2433> のほか、ディスプレー業界大手の乃村工芸社 <9716> 、丹青社 <9743> にも恩恵が及びそうだ。
●10日間の超大型連休実現で長期間のパッケージツアーが人気
昨年12月、特別法案「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が公布・施行された。これにより、今年は土曜・日曜を含め、4月27日から5月6日まで10日間の超大型連休が実現した。まず、海外・国内を問わず、これまでなかった10連休狙いの長期間のパッケージツアーを、各旅行会社は投入している。海外旅行では、従来1週間以内のプランとして人気の高かったアジアに加え、今年は欧州、北米、南米、アフリア、オセアニアといった遠隔地域の旅行需要増が見込まれている。国内でも北海道、沖縄などでの滞在タイプのゆったり体験型プランが人気化しそうだ。
●HISの海外旅行予約は既に前年同期比3倍強ペースに
エイチ・アイ・エス <9603> は2月12日、10連休となる今年のゴールデンウイーク(4月27日~5月6日出発)の国内旅行予約動向(2月4日時点)を発表した。それによると、長期休暇を利用しようと早めに計画を立てる人が多く、例年に比べ予約の早期化が進んでおり、前年同日比3倍強で推移しているという。人気の行先は沖縄本島がトップで、北海道、九州、東京、沖縄離島が続いている。また、人気アクティビティでは、シュノーケリングや体験ダイビング、カヌー・カヤック、四輪バギーが上位を占めている。また、出発日のピークは海外旅行が4月27日なのに対し、国内旅行は4月29日。国内外ともに、例年に比べて周遊プラン、長い滞在を選ぶ傾向が共通しているという。
●旅行会社や空運・電鉄各社に恩恵が波及
2013年に近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが統合した旅行大手のKNT-CTホールディングス <9726> は国内と団体に強みを発揮している。また、ベテランの旅行者層向けに、世界遺産や自然、伝統などをテーマとし比較的長期で付加価値の高いプランを提供するユーラシア旅行社 <9376> [JQ]にも注目。更に、交通機関では国際線首位の日本航空 <9201> や国内線首位・国際線2位のANAホールディングス <9202> 、羽田空港国内・国際ターミナルビルを運営する日本空港ビルデング <9706> 、主な新幹線を運営するJR東日本 <9020> 、JR東海 <9022> 、JR西日本 <9021> にも恩恵が波及する。
●宿泊施設や航空券予約サイトにもビジネスチャンスが到来
クルーズ旅行をネット販売する予約サイト「ベストワンクルーズ」を運営するベストワンドットコム <6577> [東証M]は新婚や富裕層に的を絞った企画を投入、カスタマイズ可能なオンラインのパッケージ旅行を企画・販売する旅工房 <6548> [東証M]、旅行比較サイト「トラベルコ」で攻勢をかけるオープンドア <3926> 、宿泊施設向け予約管理システム販売を主力とする手間いらず <2477> [東証M]にもビジネスチャンスが到来している。主力航空券予約サイトを運営するエボラブルアジア <6191> 、格安航空券・飛行機・LCCの予約・比較では「スカイチケット」を運営するアドベンチャー <6030> [東証M]、経路検索サービス「駅探」を運営する駅探 <3646> [東証M]、菓子大手で傘下の地域限定菓子製販会社を統括しているおみやげ関連の寿スピリッツ <2222> 、国内旅行土産品の卸売業で業界大手のタカチホ <8225> [JQ]にも注目したい。
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