高橋春樹氏【新年度相場始動! 日経平均“急発進”で見えたもの】(2) <相場観特集>
―新元号発表と合わせスタートダッシュ、上値思惑広がる?―
名実ともに4月新年度相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が一時470円強の上昇をみせるなどスタートダッシュを決め、リスク選好ムードの強い地合いとなった。ただ2万1500円を上回ると戻り売り圧力が強まるのは相変わらずで、後場は上げ幅を縮小している。春相場は強気満開となるのか、それとも再び嵐に見舞われ花びらを散らすことになるのか。相場観に定評のあるベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。
●「10連休前後に、日経平均は昨年12月高値の奪回目指す」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
4月下旬から5月上旬に掛けての10連休前後までの東京株式市場は、国内機関投資家による益出しの売りや、海外投資家からの株価指数先物主導の売りなどで一時的に下押す場面は想定されるものの、トレンド的には上下動を繰り返しながらも、昨年12月3日につけた取引時間中の高値2万2698円79銭の奪回を目指した展開となりそうだ。
今後の東京株式市場の動向を判断するには、NY株式相場の異彩の強さに注目しなければならない。米株式市場は、長期金利が短期金利の水準を下回る「逆イールド」が発生したことが嫌気され、一時的に下押す場面もあったが、総じて堅調な推移となっている。
ボラティリティの上昇に伴いリスク資産のポジションを落さなければならない「リスクパリティ戦略」をおこなっているファンドにとって、昨年10月から12月に掛けてのNY株の下落局面に比べて、現在のポジションは、はるかに安全圏にある。一方で「トレンドフォロー戦略」をとっているCTA(商品投資顧問業者)も、依然として買い余力を残している。S&P500種平均株価は2800台固めから、日本の10連休前後にも過去最高値2940を更新する可能性もある。
今後の物色対象として、内需関連銘柄に注目している。今年は10月から消費税率の引き上げが予定されているものの、慶祝ムードの高まりやイベント関連需要の拡大により個人消費が予想以上に堅調に推移する可能性もある。なかでも注目しているのは、外食店系企業の展開するデリバリーサービスだ。外食店舗のなかで食事をすれば、10月からは消費税は10%となるが、自宅などへのデリバリーなら8%で済む。更に、カードなどのキャッシュレス決済を利用すれば、ポイント還元で消費者はお得になり、需要拡大の可能性が広がる。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース