新興市場見通し:イベント通過で買い先行も変動率上昇を警戒、決算発表は終盤に
先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も下落した。異例の10連休明け最初の取引となった5月7日は、個人投資家を中心とした投資資金が中小型株に流入し、マザーズ指数も強い動きを見せた。しかし、米中摩擦激化の懸念から7-9日の日経平均が連日で3ケタの下落となり、週後半になると新興市場でもリスク回避目的の売りが広がった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-4.1%であったのに対して、マザーズ指数は-3.5%、日経ジャスダック平均は-1.3%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で6.0%安、サンバイオ<4592>が同8.2%安、ミクシィ<2121>が同1.9%安となるなどマザーズ時価総額上位は全般軟調。メルカリの第3四半期決算は前年同期より赤字が拡大した。売買代金上位ではオンコリスバイオファーマ<4588>、窪田製薬HD<4596>といったバイオ関連株の下げが目立った。また、第1四半期の大幅減益がネガティブサプライズとなったジャパンインベストメントアドバイザー<7172>は急落し、週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、直近IPO銘柄のトビラシステムズ<4441>や日本ホスピスHD<7061>はテーマ性の高さもあって買いを集めた。これら2銘柄や好決算のファンデリー<3137>が上昇率上位に並んだ。ジャスダック主力もワークマン<7564>が同8.3%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同9.9%安、セリア<2782>が同6.8%安と全般さえない。ワークマンは好決算ながら利益確定の売りが出て、セリアは4月の既存店売上高が減収となった。売買代金上位ではUTグループ<2146>、ジョルダン<3710>などが売り優勢。また、アイエックス・ナレッジ<9753>は決算を受けて売りがかさみ、週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、セプテーニ・HD<4293>やビーマップ<4316>は好業績を評価した買いが入り、環境管理センター<4657>が上昇率トップだった。
今週の新興市場では、注目された米中貿易協議をひとまず通過したことで、買いが先行しそうだ。両国とも協議を継続することを明言しており、摩擦激化への懸念は和らいでいる。また、大型連休明けとあって個人投資家の買い意欲は比較的強く、マザーズ指数は直近のもち合いレンジ下限となる900pt水準を割り込む流れとはなっていない。ただ、世界的に株価変動率(ボラティリティー)が上昇している点は警戒材料となるだろう。
今週は、5月13日にアドウェイズ<2489>、弁護士ドットコム<6027>、14日にラクス<3923>、ユーザベース<3966>、そーせいグループ<4565>、東映アニメーション<4816>、ファイバーゲート<9450>、15日にFFRI<3692>、PKSHA Technology<3993>、フェローテックHD<6890>、サイバーダイン<7779>、シノケングループ<8909>などが決算発表を予定している。決算発表シーズン終盤となるが、先週の市況を見ても好業績株の物色は活発だ。
IPO関連では、バルテス<4442>が5月14日からブックビルディング期間となる。仮条件は目論見書の想定発行価格540円を上回る600円~660円に決定した。令和最初のIPOとしても人気を集めそうだ。大英産業<2974>の仮条件決定は16日。また、先週はユーピーアール<7065>(6月12日、東証2部)の新規上場が発表されている。
《FA》
提供:フィスコ