先に待つのは反発か一段安か?米中対立に竦む市場 <東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2019年5月29日 20時00分

米中貿易摩擦や米国によるファーウェイに対する制裁措置を背景に、日米株式市場は軟調に推移しているが、下げ止まりの動きも見せつつあるようにみえる。果たして今後、株式市場は下げ止まって反発に転じるのか、あるいは再び下げ基調を強めるのだろうか。

反発するのであれば、米中通商交渉の合意や経済減速懸念の払拭などマイナス要因が後退するか、もしくは株式市場でこれら懸念要因の織り込みが進み、悪材料としての影響力が薄れることが必要になってこよう。

■悪材料の織り込みは進んだのか?

NYダウの騰落レシオ(25日)を見ると下記のように推移している。

4月30日(火) 149.667

5月1日 (水) 134.796

5月2日 (木) 142.395

5月3日 (金) 143.648

5月6日 (月) 130.154

5月7日 (火) 114.327

5月8日 (水) 117.442

5月9日 (木) 112.784

5月10日(金)  114.943

5月13日(月) 102.162

5月14日(火) 106.630

5月15日(水) 119.062

5月16日(木) 121.662

5月17日(金) 116.522

5月20日(月) 108.078

5月21日(火) 113.429

5月22日(水) 108.078

5月23日(木) 101.348

5月24日(金) 104.098

5月6日までは過熱ゾーンの目安とされる120%を大きく超えていたが、それ以降は一時的に120%を上回る場面はあっても、概ね過熱圏とも底値圏とも言えない水準で推移している(※騰落レシオ120%以上で過熱圏、70%以下で底値圏といわれる)。

騰落レシオの推移を見る限りでは、株式市場はさまざまな懸念要因をまだ完全には織り込んだとはいえない。

■年間平均を上回るダウの上昇率

大統領が就任してから3年目が株式市場は最も上昇しやすいといわれる。過去40年間のNYダウの年間平均上昇率はおよそ9%。2019年1月2日の始値は2万3058ドル、直近の5月24日の終値は2万5585ドル。足元、4月下旬から下落基調にあったとはいえ年初から10.9%上昇している水準にある。

ファーウェイへの制裁措置などによる経済への影響が顕在化してくるのはこれからということを踏まえても、NYダウの年初からの上昇率が過去40年の平均を上回っている現状では、やはり株式市場は懸念材料を織り込んだとはいえないだろう。

米中対立の本質は貿易不均衡に端を発した確執にあるのではなく、2つの超大国の先端ハイテク技術を軸とした覇権争いにある。今後の世界の構図を決定づける闘争であるだけに安易な妥協による短期での終結は考えにくく、対立は長期化が予想される。

今後の米国株式市場は両国の対立、世界経済の減速懸念を本格的に織り込む方向に動く、つまり株価は下落する可能性が高いと考えられる。米国株との連動性が高い日本の株式市場も引きづられる形で下落する可能性が高いとみている。(5月28日 記)

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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