富田隆弥の【CHART CLUB】 「NYダウ二段下げ、6月も慎重続く」
◆トランプ米国大統領を歴史的なおもてなしで迎えた安倍首相。数々の行事を無事に終えてホッとしているに違いない。だが、マーケットの関心はそこになく、米中貿易戦争の長期化を懸念して NYダウ、日経平均株価ともにチャートは軟調が続く。6月に入り政府の目は下旬のG20サミットや国会会期末へと向かうが、マーケットはホッとしている暇ないだろう。
◆日足で「二段下げ」懸念を燻ぶらせていた日米株価。日経平均(30日終値2万0942円)は5月14日安値2万0751円を維持しているものの、カギを握るNYダウが29日に2万4938ドルまで下げ、5月13日安値2万5222ドルを割り込み日足が二段下げに突入した。こうなると、日経平均も二段下げ突入の覚悟が必要だ。
◆日経平均の日足をみると、5月14日安値2万0751円のあとアヤ戻りに転じたが、戻りは2万1430円(5月20日)止まりで、割り込んだ75日移動平均線(2万1464円)をまだ抜けずにいる。そして、もたついている間に一目均衡表は「雲」(2万1330~2万1793円)を割り込み、遅行線が「雲」(2万0404~2万1243円)の中に突入するなど不安を募らせる。2万0751円を割り込んで二段下げに入るとV波(2万0072円)、N波(1万9819円)が下値メドとなる。
◆また、日経平均の二段下げ懸念は週足にも漂う。昨年10月高値2万4448円から12月安値1万8949円までの下落を「一段下げ」として、4月戻り高値2万2362円から計算される二段下げメドはN波1万6862円、V波1万5534円。12月の安値1万8948円を下回るだけに、ここからの下落に注意が必要となる。
◆ちなみに、NYダウ(5月29日終値2万5126ドル)の日足は4月23日高値2万6695ドル→5月13日安値2万5222ドル→5月16高値2万5957ドルと推移しており、そこから計算する二段下げはN波、V波ともに2万4480ドル台で当面の下値メドになりやすく、そこに向かえば12月安値2万1712ドルも意識することになろう。
◆このように日米ともチャートは日足、週足ともに「陰転」を暗示したままで、先安懸念が漂う状況にある。米中貿易戦争だけでなく英国・イタリアの欧州、サウジ、イランの中東、そしてロシアを含めて世界で地政学リスクが再燃しかねない雲行きでもある。つまり、チャートの軟調はマネーの「リスク回避」を示唆しているとも言える。こうような地合いでは、安易な楽観を慎み、チャートが25日移動平均線を突破するなど好転の兆しを見せるまでは様子見も一策となる。
(5月30日 記、毎週土曜日10時に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース