新興市場見通し:悪地合いに警戒しつつ中小型株の循環物色、IPOは大英産業

市況
2019年6月1日 15時05分

先週の新興市場では、日経平均が下落する一方、マザーズ指数は逆行高となった。週半ばまで日経平均は21000円台でこう着感の強い展開が続き、大きな値幅を狙う個人投資家の物色がマザーズ銘柄を中心とした中小型株に向かった。週後半になると米中対立の長期化、また通商摩擦拡大への懸念が台頭し、円高進行とともに日経平均は下落。こうしたなかでも中小型株物色の根強さは窺えたものの、マザーズ指数は上値を切り下げる形となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.4%であったのに対して、マザーズ指数は+2.4%、日経ジャスダック平均は-0.6%だった。

個別では、マザーズ時価総額トップのメルカリ<4385>が週間で15.1%高と大きく上昇。株価指数のリバランス需要が発生した。ティーケーピー<3479>は同9.4%高、ラクスル<4384>は同16.1%高、ラクス<3923>は同21.6%高で、成長期待の高い銘柄を中心に資金が向かった。売買代金上位ではHEROZ<4382>、ALBERT<3906>といった人工知能(AI)関連株の上げが目立った。また、業績上方修正のホープ<6195>が週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、物色の柱となっていたそーせいグループ<4565>は週末にかけ利益確定売り優勢で、イーエムネットジャパン<7036>などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同8.6%高となったものの、日本マクドナルドHD<2702>が同1.2%安、ワークマン<7564>が同1.9%安と軟調。アサカ理研<5724>はレアアース(希土類)を巡る思惑から活況となり、エヌ・シー・エヌ<7057>などとともに週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。反面、前の週に急伸したオンキヨー<6628>は上値が重く反落し、フジタコーポレーション<3370>は利益確定売りがかさみ下落率トップとなった。IPOでは令和最初となるバルテス<4442>の新規上場があり、公開価格の約2.8倍となる高い初値を付けた。

今週の新興市場では、中小型株の循環物色の流れが続きそうだ。主力大型株の手掛けづらさから中小型株物色が続いており、AI関連などのテーマ株や初値形成後に調整が続いていた直近IPO銘柄にも物色のすそ野は広がりを見せている。しかし、5月31日の米国市場でNYダウが350ドル超下落するなど、日米で株価変動率(ボラティリティー)が再び高まりつつある点は気掛かり。相場全体の地合い悪化で資金の逃げ足が速まる可能性もある。

今週は、6月7日にバルニバービ<3418>、日本スキー場開発<6040>、イトクロ<6049>などが決算発表を予定している。イトクロは第2四半期決算を発表。第1四半期は広告宣伝の強化により営業微増益だったが、再び伸びを見せてくるか注目したい。また、トビラシステムズ<4441>やハウテレビジョン<7064>といった6月中旬に決算発表を予定している直近IPO銘柄もあり、思惑的な買いが向かう可能性もありそうだ。

IPO関連では、6月4日に大英産業<2974>が福証へ新規上場する。同社は九州地盤で新築分譲マンション等を手掛けているが、地方市場への上場案件とあって穏当なスタートとなりそうだ。なお、注目のSansan<4443>は3日からブックビルディング期間入り。また、先週はフィードフォース<7068>(7月5日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

《FA》

提供:フィスコ

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