国内株式市場見通し:短期的なリバウンドも戻り限定か

市況
2019年6月1日 15時06分

■日経平均4週連続安で21000円割れ

前週の日経平均は下落した。週間ベースでは4週連続安で21000円台を割り込んだ。月間もマイナスに転じた。5月24日のNYダウが3日ぶりに反発し、週明け27日の東京市場は堅調に始まった。ただ、27日の米国市場が休場で、日米首脳会談後の記者会見の内容を見極めたいとのムードから日経平均は小幅高と伸び悩んだ。東証1部の出来高は4月23日以来の10億株割れ、売買代金はおよそ4年5カ月ぶりの低水準となる1兆4713億円に低迷した。28日は欧州市場が堅調だったことに加えて、東京エレクトロン<8035>の大規模な自社株買い実施が好感されるなどして日経平均は小幅続伸した。3連休明け28日の米国市場は買い戻し先行で始まったものの、米長期金利の低下とトランプ大統領の対中関税の大幅引き上げ発言を嫌気してNYダウは大幅反落した。この流れを受けて29日の日経平均も3日ぶりの反落に転じた。米長期金利の低下とともに為替相場で1ドル=109円台前半まで円高が進んだことが嫌気された。日経平均は一時21000円を割り込んだが、日銀のETF(上場投資信託)買いもあり、大引けでは節目の21000円台に戻した。貿易摩擦問題を巡り、中国が米国への対抗措置としてレアアースの輸出制限を検討していることが報じられた29日のNYダウは続落。30日の東京市場はこの流れを嫌気して、日経平均は節目の21000円を割り込んでスタートし、大引けでも3月25日以来の21000円割れとなった。上海総合指数が軟調で、指数先物に対する断続的な売りも観測されたが、前日の米国市場で半導体SOX指数が5営業日ぶりに反発し、東京エレクトロン<8035>、ソニー<6758>など優良株の一角が上昇したことが寄与した。米長期金利の低下が一服し、金融株などに買い戻しが先行した30日のNYダウは3日ぶりに反発した。ところが、トランプ大統領が不法移民の問題を背景に、全てのメキシコ製品に5%の関税を発動するとしたことを受けて、31日の東京市場は貿易摩擦拡大を嫌気して売り優勢で始まった。午前10時に発表された中国5月製造業PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を下回る悪化をみたほか、後場は1ドル=108円台後半まで円高が進んだことが嫌気され、日経平均は下げ幅を広げて、2月8日以来の安値水準で大引けた。

■貿易摩擦の拡大が懸念

今週の日経平均は短期的なリバウンドが期待されるものの、戻りの勢いは限定的となりそうだ。ゴールデンウイーク明けの4週連続安で日経平均は値幅にして1650円超下げている。名実ともに月替りをきっかけにして、相応の自律反発の動きがあってもおかしくないだろう。ただし、外部環境に支援材料は少ない。華為技術(ファーウェイ)問題がくすぶる中で、中国側による対抗措置としてレアアース輸出制限措置が浮上。追い打ちを掛けて米国によるメキシコ製品への課税問題が加わり、貿易摩擦の拡大による悪影響が深刻化している。こうしたなか、トランプ米国大統領は3日から6日にかけて英国、アイルランド、フランスを訪問予定で、貿易問題が欧州に飛び火することも警戒される。7日発表の米5月雇用統計は日本時間21時30分の発表で、その影響は翌週となるが手控え要因として働いてこよう。軟調地合い時に明らかとなる経済指標については、過剰反応となることもあり、3日の米5月ISM製造業景況指数、5日の米5月ADP雇用統計(発表時間はともに東京市場の大引け後)には注意が必要だ。また、日経平均はテクニカル的にも厳しい流れとなっている。29日以降は3日連続で5日移動平均線を下回って推移し、下降中の25日移動平均線は75日移動平均線を割り込んできそうだ。5月に入って下げに転じた13週移動平均線が頭を抑える形になっており、下げずとも戻せない状態が続くと、日経平均は20000円を下値意識する一段安のシナリオが現実味を帯びてくる懸念もある。

■メジャーSQにらんで神経質な展開に

6月第2週のメジャーSQを控える日程を踏まえて、相場的には神経質な展開を強いられそうだ。一方、6月上旬の物色動向は、過去の例からすると、個別株物色に傾斜する傾向がある。直近では自社株買い発表銘柄が人気化している。前週に令和第1号のIPO銘柄となったバルテス<4442>の好スタートは、数少ない明るい話題の一つだ。なお、翌週11日からは米国で世界最大のゲーム見本市「E3」がロサンゼルスで13日まで開催される。任天堂<7974>などゲーム関連株や、見本市には参加しないもののソニー<6758>の動向に関心が向く可能性がある。

■FRB議長発言や米雇用統計など

今週の主な国内経済関連スケジュールは、3日に1-3月期法人企業統計、5月自動車販売台数、4日に5月マネタリーベース、6日に5月都心オフィス空室率、7日に4月家計調査、4月毎月勤労統計調査、4月景気動向指数の発表が予定されている。一方、米国など海外経済関連スケジュールは、4日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言、FRBは金融政策運営の見直しに向けた会議を開催(5日まで)、6日にECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、米4月貿易収支、7日に米5月雇用統計、端午節で中国、香港休場、8日G20財務相・中央銀行総裁会議(9日まで、福岡)が予定されている。このほか、7日には英メイ首相が与党・保守党党首辞任が控えている。

《FA》

提供:フィスコ

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