米国株式市場見通し:利下げ期待の動向を注視
中国などとの貿易摩擦問題を受け、パウエルFRB議長が必要あれば利下げにも対応する方針を明らかにしたほか、5月雇用統計が軟調となり、利下げ観測が拡大している。今週以降は貿易摩擦や経済指標の動向を受け、6月ないし7月の利下げが意識されるだろう。
トランプ米大統領は7日、予定していたメキシコからの全輸入品に対する5%の関税発動を見送ると発表した。メキシコが米国への不法移民流入を防ぐ対策を取ることで合意したという。この流れを受け、同国に工場を持つフォードやゼネラル・モーターズなどを見直す動きに繋がりやすいだろう。
G20財務相・中銀総裁会議が8-9日にかけて福岡市で開催予定だ。大手ハイテク企業の課税回避を防ぐ「デジタル課税」の新ルールの方向性や、中国による新興国への過剰投融資が批判される中国を念頭にインフラ投資の国際原則が議論される見通しだ。司法省による独禁法調査が広がるなか、「デジタル課税」での合意内容次第では、ハイテク企業の業績に不透明感が広がりそうだ。
今週の経済指標は、5月生産者物価指数(11日)、5月消費者物価指数(12日)、5月輸入物価指数(13日)、5月小売売上高(14日)、5月鉱工業生産(14日)などの発表が予定されている。4月輸入物価指数は予想を下振れたが、同指数は今後の金融政策を占う重要な指標となるインフレ率に影響を与えるため、注目したい。
11日から13日にかけてロサンゼルスでゲーム見本市 (E3) が開催される。開催直前にアルファベット傘下のグーグルが、高額なゲーム機器を使用せず、PCやテレビ、スマートフォンからのインターネット接続のみで遊ぶことができる、クラウド型ゲームサービス「Stadia」の価格や開始時期の詳細を発表しているが、クラウド型ゲームでソニーと提携したマイクロソフトがどのような新製品を発表するかに注目したい。ゲーム専用端末からクラウド型ゲームへの移行が加速しそうだ。また、半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイセズは次世代ゲーム技術や製品について何らかの発表を行う予定だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ