新興市場見通し:新興市場も売買低迷で小型株選好、IPOはユーピーアール
先週の新興市場では、日経平均が上昇する一方、マザーズ指数は逆行安となった。週初は米国とメキシコの通商摩擦への懸念が先行。為替の円高進行や米ハイテク株安も投資家心理を悪化させ、マザーズ指数は値を崩す場面があった。その後、米利下げ期待や通商摩擦への懸念後退を背景に、日経平均は買い戻し主導でリバウンドを見せたものの、マザーズ指数の戻りは鈍かった。マザーズ売買代金は低調で、ジャスダックも週末にかけて大きく落ち込んだ。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.4%であったのに対して、マザーズ指数は-2.2%、日経ジャスダック平均は+0.2%だった。
個別では、マザーズ時価総額トップのメルカリ<4385>が週間で12.7%安と大きく下落。競争激化も意識されたようだ。サンバイオ<4592>は同0.9%安、ティーケーピー<3479>は同0.7%安と小安い。売買代金上位では前の週に上場したバルテス<4442>や、前月上昇の目立ったインパクトHD<6067>が利益確定売り優勢。また、Amazia<4424>や日本ホスピスHD<7061>は25日線割れで手仕舞い売りがかさみ、週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、KDDI<9433>との連携サービス開始が材料視されたトビラシステムズ<4441>や人工知能(AI)関連のHEROZ<4382>は堅調で、JIG-SAW<3914>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同8.3%高。主力輸出株の買い戻しの動きが波及したようだ。ただ5月の月次売上高を発表したワークマン<7564>は同3.1%安、セリア<2782>は同7.2%安と軟調だった。売買代金上位ではUTグループ<2146>がやや売り優勢で、ファンドクリエーショングループ<3266>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、アエリア<3758>やメイコー<6787>が買われ、日本精密<7771>が上昇率トップだった。IPOでは大英産業<2974>が福証へ新規上場したが、公開価格を下回る初値形成となった。
今週の新興市場では、マザーズ指数が上値の重い展開となりそうだ。日経平均のリバウンドは売り込まれていた先物や輸出関連株の買い戻しが主導しているとみられ、マザーズではこうした動きが期待しにくい。また、このところマザーズ売買代金は連日で800億円台と低迷しており、メルカリのような時価総額上位銘柄は敬遠されやすいだろう。より少額の資金で値幅が出る小型株が選好されそうだ。
今週は、6月10日にシルバーライフ<9262>、12日にSKIYAKI<3995>、HEROZ、トビラシステム、ベストワンドットコム<6577>、ハウテレビジョン<7064>、13日にラクスル<4384>、14日にジェネレーションパス<3195>、スマレジ<4431>、サンバイオ<4592>、マネジメントソリューションズ<7033>、スリー・ディー・マトリックス<7777>などが決算発表を予定している。2-4月期決算発表が多く、トビラシステムなど直近IPO銘柄も散見される。物色の手掛かり材料となりそうだ。
IPO関連では、6月12日にユーピーアール<7065>が東証2部へ新規上場する。パレット等の物流機器のレンタル・販売を手掛けるが、IPOとしてはやや地味と見る向きが多い。このところIPOにおいて銘柄選別の動きが強まっている点にも注意したい。しかし同社はテーマ性を背景に一定の関心を集めており、穏当な初値形成となりそうだ。
《FA》
提供:フィスコ