【杉村富生の短期相場観測】 ─ なぜ、ボラティリティがこんなに高いのか?

市況
2019年6月9日 9時15分

「なぜ、ボラティリティがこんなに高いのか?」

●全般相場はもみ合いに終始する!

相変わらず、トランプ米大統領の言動(ツイッター)に振り回されている。それに、日米両市場ともにボラティリティ(株価変動率)が非常に高い。この背景には機関投資家の投資スタイルがある、と思う。

すなわち、彼らは「原油売りの長期債買い」などのオルタナティブ投資を多用しているし、株式市場ではショート(売り)とロング(買い)を交互に行っている。さらに、リスク・パリティを採用、これはリスク指標に応じ、リスク資産のウエイトを調整する。

この結果、値動きは一方通行になる。加えて、国内の機関投資家の多くが「投資対象が乏しい」と、ヘッジファンドを購入している。ヘッジファンドの売買は単純ではない。あらゆる商品、地域が複雑に絡み合っている。このため、アービトラージ(裁定取引)の影響もあって下値は限定される。

もちろん、上値は期待できない。日経平均株価は2万~2万1500円ゾーンでのもみ合いだろう。1ドル=108円がらみの円高も痛い。マーケットでは「消費税率引き上げ延期、衆参同日選」の可能性がささやかれている。トランプ旋風は強烈だが、こちらの解散風だって気迷い感の背景にあろう。

●材料株を個別に狙う戦術が有効!

さて、こうした状況下、6~7月相場の投資戦術は引き続き、テーマ性を有する材料株の個別物色作戦が有効だろう。なにしろ、積極的な買い手は日銀のETF、自社株買い、個人だけだ。もっとも、前述2者の買いは年間12兆円になるが……。

いずれにせよ、全般相場(インデックス)が上値を追うのは難しい。だからこそ「森を見ず、木を見よ、木を見ず、葉っぱの裏にすがりつけ」と主張している。すなわち、シルクワーム(カイコ)作戦である。

日本通信 <9424> が連日の大商いだ。ファンダメンタルズ的には赤字が継続、累積損66億円を抱え、とても買えないが、この銘柄には夢がある。その夢とは「金融庁FinTech実証実験ハブ」に参加、FPoS(Fintech Platform over SIM)の技術を持っていることだ。恐らく、将来的には携帯電話のサブSIMが預金通帳代わりに使われるだろう。

電通 <4324> は1月21日に5350円の高値をつけた後、5月31日には3525円の安値まで売り込まれた。これは2014年以来の株価水準となる。低調だった第1四半期決算を嫌気したものだ。しかし、2020年12月期以降は従来の成長軌道に戻る。たしかに、足もとの業績は大口顧客の失注に加え、勤労環境の改善費用があって下ブレしている。ただ、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック大阪万博などのビッグイベントが控えている。株価は底打ち、反騰態勢が鮮明だ。ここは買い仕掛けのチャンスである。

同様に、ロゼッタ <6182> [東証M]が出直りの動きを見せている。やはり、大きく下げた。しかし、こちらの業績は好調に推移している。

2019年6月6日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.