米国株式市場見通し:米中首脳会談は通商協議再開で合意

市況
2019年6月29日 15時14分

29日に行われた米中首脳会談では、両国が通商協議再開で合意し、米国による新たな対中関税を発動しない方針も伝わっている。これにより週明けの株式相場には、ひとまず安心感が広がろう。その後は、経済指標の良し悪しからFRBの利下げ動向を占う展開となりそうだ。今週は月初であることから多くの主要経済指標の発表が予定されており、注目したい。なお、3日 (水) は独立記念日の前日で午後1時までの短縮取引となり、4日(木)は独立記念日の祝日で米国株式市場は休場となる。

先週は、来年11月の大統領選に向けて民主党候補者の討論会が開催され、医療制度改革に関する議論がなされた。2月末に民主党議員による国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」の法案提出を受け、大統領選で民主党が勝利すれば、民間保険会社を完全に排除した公的医療保険制度導入が進むとの懸念からヘルスケア関連銘柄は軟調推移が続いている。しかし、トランプ大統領が再選される可能性もある上に、「メディケア・フォー・オール」実現の為には、大統領以外にも上下院で少なくとも過半数を確保する必要があり、民主党が全面的に勝利を収めることは今の所、難しそうだ。既存の民間及び公的医療保険制度の対象者を拡大する為に導入されたオバマケアですら上院通過が困難であったことを考慮すると、医療制度改革は容易に実現しないだろう。

経済指標は、6月ISM製造業景況指数(1日)、5月建設支出(1日)、6月ADP雇用統計(3日)、5月貿易収支(3日)、5月製造業・耐久財受注(3日)、6月ISM非製造業景況指数(3日)、6月雇用統計(5日)などの発表が控えている。先週発表された1-3月期GDP確報値は概ね予想通りとなったが、今週の各種指標で景気拡大の頭打ちが示される可能性もあり、注意が必要だ。雇用統計では、失業率は前月比横ばいの3.6%、非農業部門雇用者数は前月から16万人増が予想されている。

来週から始まる決算シーズンを前に投資家の関心は企業業績に移ることが予想され、業績修正の発表が飛び出し易い時期となることには注意が必要だ。また、今週はフォードやGMなど自動車大手の4-6月期の新車販売台数(2日)の月次統計発表が予定されているほか、電気自動車のテスラも納車台数発表を予定しており、過去最高を更新できるかに注目が集まりそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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