【植木靖男の相場展望】 ─「トレンドを見極めろ!」
「トレンドを見極めろ!」
●気になる3つの材料
6月最終週は月末にかけてG20、各国首脳の会談を控え思惑が交錯し、株価に一喜一憂する展開となった。
もっとも、市場が関心を寄せるのは、いうまでもなく29日の米中首脳会談(本稿執筆は28日)。見方はいろいろあっても、どれも不確実性が強く、しょせん推測の域を出ない。結局、終わってみないと何もわからないというのが本音。
では、こうした時、投資家は相場にどう向き合えばよいのか。6月最終週の材料、株価の動向から今後のスタンスを考えてみたい。
まずは環境面から、(1)米中首脳会談。いろいろな見通しの中から、最も可能性の高いと思われる結論は、引き続き協議継続となること。両者の覇権争いとなれば、片や共産党一党独裁、しかも経済的には計画経済。片や民主主義、経済的には自由資本主義。しょせん水と油である。心底からニコニコ笑って握手して別れることはない。だが、協議継続ならとにもかくにも、すぐに米国が第4弾の追加関税を発動することは回避される。
次に気になるのは、(2)市場内部要因。まず目につくのは、日米株価とも6月21日の高値を、最終週には一度も上回っていないことだ。なかでも日本株よりも 米国株だ。この一週間の値動きは罫線(チャート)上はよくないというのが一般論。また、 日本株は円安が進んだこともあり、米国株より罫線上はましながら、やはり6月21日の高値を抜けていない。
気になるもう一つは、(3)金価格の上昇だ。1オンス=1350ドル前後から一気呵成に1400ドルまでのスピードは侮りがたい。中国の報復による米国債売りの思惑と金買い、また20年のIMFの基軸通貨見直しを控え、通貨、株式などの波乱を呼びかねない。
●先進国市場の先鋒、日本株はどう動く?
こうしたなか、7月相場をどう見ればよいか。米中首脳会談の内容が株価に最も早く反映される先進国の市場は日本である。
そこで、見極めが必要なのはトレンドである。すなわち、週初、1~2日の株価に惑わされてはいけない。あくまでも方向性である。1~2日では見せかけであることが結構多い。
市場では、金融相場の再来を期待する声が大きい。だが、いまは逆業績相場入りの局面であって、金融相場はそのあとである。もっとも、それでも金融相場が直ちに来るとすれば、これまでと同様、異次元の金融緩和、つまり大量の資産を中央銀行が買い取ることだ。だが、わが国にはもはや買い取るに足るだけの国債はないし、すでに日銀は満腹状態にある。
暑い夏のなか、冷えた相場になるのか、はたまた熱風に煽られて一段高となるのか、しっかり見極めたい。
今回はマザーズ市場からシェアリングテクノロジー <3989> [東証M]、半導体関連からレーザーテック <6920> 、やや長い目でSPDRゴールド・シェア <1326> [東証E]などに注目したい。
2019年6月28日 記
株探ニュース