明日の株式相場戦略=金利低下期待を底流に局地的な材料株相場続く
米国株市場の強さが際立っている。NYダウ、ナスダック総合指数、S&P500指数が三役揃い踏みで史上最高値を更新。原動力はFRBによる金融緩和政策への期待であり、米10年債利回りが2%を割り込み2年8カ月ぶりの低水準となり、これが相場を押し上げている。
米国株高は7月利下げを前倒しで織り込む形での上昇といってしまえばそれまでだが、そもそも7月利下げ観測はここにきてにわかに浮上したものではない。今のリスクオン環境は7月末のFOMCのみを材料視しているわけではなく、もっと漠然としたユーフォリア、強いて言えば“適温相場が継続することへの期待”ということになるだろうか。
きょう(4日)の東京株式市場は、米国株高に追随する形で日経平均が反発に転じたが、寄り後早々にきょうの高値をつけ、後はのらりくらりと2万1700円近辺でもみ合った。今晩の米国株市場が休場ということもあって、海外投資家の参戦が限られ売買代金は1兆4000億円台という超閑散相場。前日の米国株が半日取引にもかかわらず、朝方から短距離走のように最高値のフラッグまで駆け上がったことを考えると、なんとも白けた印象を受けるが、それでも内訳をみると個別株には派手なパフォーマンスが目立ち、個人投資家目線では盛り上がりが感じられたのではないか。
あす(5日)も米雇用統計待ちで全般は閑散相場の色を強めそうだが、中小型の成長株やテーマ材料株にスポットライトが当たり、局地的に活況な地合いが期待できる。
個別では、東邦システムサイエンス<4333>やエヌエフ回路設計ブロック<6864>など足の速い材料株が目を見張る上昇をみせているが、これに周回遅れで参戦するのは投資家としても勇気がいる。そうした思惑も作用しているのか、ここ直近にきて中低位株を物色する流れが勢いを増している。6月上旬に先駆した日本通信<9424>などに資金が回帰しているのも、今の流れを暗示している。
そうしたなか、“静かな光を携えていた”日本エンタープライズ<4829>が突発高。超新星のごとき輝きを放った。今20年5月期の業績回復期待が株高の背景にあるとみられるが、腕に覚えのある個人投資家の資金が値ごろ感のある同銘柄に集中した。
中低位株というフィルターを通して見た場合、目先動意含みにあるのがユビテック<6662>。同社の主力はオリックス自動車のカーリース事業を支えるカーシェア車載機と、オリックス自動車が販売している自動車に搭載するテレマティクス車載機。もとよりAI・IoT分野で高い技術力を持っており、今のシステム開発関連株物色の流れにも乗る。
また、株価200円台で商い急増のなか上値指向にあり、ただならぬ気配をみせているのが東海運<9380>。買い材料不明ながら、市場では大阪カジノに絡む思惑がハヤされているようだ。株価が低位に位置する銘柄は初動で上ヒゲをつけやすいが、その上ヒゲが大相場のスタートを告げる号砲となっているケースがよくある。目先の押し目は狙い目となる。
このほか、中低位株以外では中小企業向けを主力とする独立系のシステム開発会社で、キャッシュレス決済関連で商機を捉えるアイル<3854>の押し目などに妙味がありそうだ。
日程面では、あすは5月の家計調査、5月の景気動向指数などが発表される。また東証マザーズにフィードフォース<7068>が新規上場する。海外では6月の米雇用統計が要注目となる。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)