山内俊哉氏【週明け反落、米雇用統計を受け潮流に変化?】(2) <相場観特集>

特集
2019年7月8日 19時45分

―行き過ぎた米早期利下げ期待、その反動はくるのか―

週明け8日の東京株式市場は日経平均株価が反落となった。注目された6月の米雇用統計が事前の市場予測を大きく上回ったことで、これが7月末に予定されるFOMCにも影響を与えそうだ。行き過ぎた米利下げへの期待が剥落した形だが、為替が円安に振れるなど東京市場にとってはマイナス材料ばかりではない。今回は株式市場全般の見通しや為替の動向について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「日米通商交渉を視野に円高も、7月の米利下げは0.25%か」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

5日に発表された米6月雇用統計は、非農業部門雇用者数はV字型の回復を示した。失業率は、前月の3.6%から3.7%へ上昇したが、この要因には労働参加率が伸びたこともあるだけに、6月雇用統計は堅調な内容だったとみることができる。

今週の10~11日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が注目されている。この議会証言を経て、今月30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、どんな判断が下されるかが焦点だが、米利下げは0.25%にとどまるとみている。0.5%の大幅な利下げに踏み切った場合、市場からは「米金融当局は景気を弱気にみている」「トランプ政権の利下げ圧力に屈した」との見方が出る可能性があり、ドルは大幅な下げとなることもあり得る。7月の利下げは無難に0.25%にとどまるだろう。

ただ、米景気はピークアウトしたとみられ、年後半の9月あるいは12月に7月に続く0.25%の利下げに踏み切る可能性はある。更に日本の参院選後は日米通商交渉に市場の関心が向かうだろう。米国はすでに来年の大統領選を意識するムードにあるなか、同交渉を通じて日本に圧力を強めてくることが予想される。

こうしたなか、今後1ヵ月程度のレンジは106円00~110円00銭前後を見込んでいる。トレンドは円高をみている。

ユーロドルのレンジは1ユーロ=1.11~1.145ドルを想定する。トレンドはユーロ高だろう。ドイツの景気は良くないが、米国の利下げで相対的にユーロは買われやすくなるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)

上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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