すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 ろくすけさんの場合-第3回
目標株価で狼狽売りにサヨナラ、お宝株の売り時を見極める技
登場する銘柄
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
投資歴約20年の元サラリーマン投資家。現在は専業。「多くの人がまだ気づいていない潜在的・本源的価値を見出す」をモットーに企業研究に励み、長期投資を志す。2008年サブプライム問題での相場低迷時に日本株の割安感に着目。投信積み立てから個別株に軸足を移して以降、一歩一歩資産拡大を遂げている。現在の運用資産額は約3億円で、この他にキャッシュで買った自宅も保有。
前回までの記事で、投信の積み立て投資で貯めた3000万円を元手に資産を10倍化させ、3億円以上にまで拡大させたろくすけさん(ハンドルネーム)の銘柄選択の考え方、つまり購入方法を中心に紹介してきた。
3回目の今回は、保有銘柄の売り時をどのように判断しているのかを中心に紹介する。現在、行っているのが自身で目標株価を計算し、その到達度で判断する方法だ。目標株価の算出法も含めて、出口戦略について見ていこう。
自分で考えた目標株価を信じ、相場下落時もハラハラしない
足元の株式相場は米国が金融緩和モードに転換するという期待などから堅調さを取り戻しているが、令和が幕開けしたばかりの5月初旬は、「このままズブズブ株価が下がり続けるのでは」というヒヤリとする局面が続いた。
そんな環境でも、ろくすけさんはジタバタすることはない。全体相場の下落に伴い保有株も連れ安したが、むしろこれをチャンスと見て、冷静に買い増しを実行。現在も継続的に追加資金を投入し、せっせと持ち株数を増やしているところだ。
「お宝銘柄だったのに、つい狼狽(ろうばい)売りしてしまった」
と後悔することもあり得る局面でも、ろくすけさんは逆に冷静に買い増しや継続保有ができるのはなぜか。それは自分なりに企業の成長ストーリーを組み立てて本来の企業価値を計算し、そこから目標株価をはじく作業をしているからだ。
例えば前回紹介したポートフォリオの「ろくすけカブス」でウエート第2位のアバント<3836>の場合、目標株価を2600円水準と設定している。
同社は5月の通期決算発表後に急ピッチで株価上昇し、連日のように新高値を更新。その後2364円の最高値を付けた後、現在は2100円水準で、足元では一時株価が25日移動平均線を割り込んだ場面があった。
■アバント <3836> の日足チャート
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
だが、今のところ自身で描いた同社の成長ストーリーに変化はなく、株価下落は急激な株価上昇の反動の範囲だと捉えているため特に慌てることはない。長期的視野では今後も企業価値は向上し、目標株価に向けて徐々に株価を切り上げていくという見通しを持っている。
一方で何らかの材料で株価が急騰し、一気に目標株価を上回るような場面があれば、利益確定を検討する方針だ。
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