窪田朋一郎氏【最高値街道の米株を横目に閑散、日本株の先行きは】(1) <相場観特集>
―梅雨明け期待もエネルギー不足続く、ここでの投資手法―
3連休明けとなった16日の東京株式市場は、終始売り優勢の展開を余儀なくされた。米国株市場ではNYダウやナスダック総合指数の最高値更新が続いているものの、なかなかこれにキャッチアップできないでいる。売買代金に反映されるように市場参加者不足が拭えない東京市場だが、ここは買い場と見るべきなのか。梅雨明け相場への期待が高まるなか、ここからの展望や物色の方向性について先読みに定評のある市場関係者2人に聞いた。
●「米株高波及しにくくボックス相場継続か」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
米国株市場は利下げ期待を背景に好調を極めているが、これは一極集中的な人気であり、欧州株や日本株を巻き込んでの世界的なリスクオン相場には発展しにくい面がある。日本は日銀の金融政策にこれ以上の緩和の余地が乏しいことが株価の上値を重くしている。ECBも日銀ほどではないが、追加的な金融緩和ののりしろは米国に比べれば少なく、結果として株式市場では米国のみが適温相場を満喫する環境にある。
日本株市場で投資対象としてはREITに人気があるが、いうまでもなく配当利回りの高さが人気のベースにある。しかし、これが高配当利回りの上場企業の株を買うという投資行動には広がりをみせていない。ETFやインデックスファンドなど資金流入の先はアセットクラスごとに決まっている面が強く、相対的に出遅れているものを先回りで仕込んでおくというような投資コンセプトは今のマーケットには少ないようだ。
また、スケジュール的には21日の参院選が契機となるとの期待も根強いが、既に与党勝利で相場に織り込みが進むなか、これは10月の消費税引き上げについて信認を得るということも意味しており、株式市場にとってあまりポジティブな思惑は生まれづらい。
なお、米国では7月末のFRBで0.25%の利下げはほぼ確実視されているが、仮に一部で取りざたされる0.5%引き下げとなれば、これは買い材料としてインパクトがあり上げ足を加速させる公算が大きい。また、想定通り0.25%であっても、年内もう一回の利下げ観測は残ることから材料出尽くしとはならないだろう。
とはいえ、このところの日本株は、米国株の上昇に連動しないことは明らかで、当面の日経平均は2万1000~2万2000円のボックスで推移するものと思われる。物色対象としては強いものにつくというセオリーではREITの追撃買いだが、高値買いを避け1年以上資金を寝かせる心づもりがあるならば、銀行や商社など高配当利回りの銘柄の安値を買い下がるという手法もある。個別では、日本郵政 <6178> やかんぽ生命保険 <7181> などが大きく下落した局面で逆張りで対処するのも、ひとつの選択肢としてはありそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース