明日の株式相場戦略=変化に対応して買い出動を
きょう(17日)の東京株式市場は冴えない展開が続いた。日経平均は朝方に安値をつけた後は下げ渋ったが、戻りを窺うような覇気は感じられず66円安と続落。前日の米国株市場でNYダウ、ナスダック総合指数ともに上昇一服となったが、この動きに静かに追随した格好だ。
この背景に挙げられるのが、またぞろ米中貿易交渉が長引くことへの懸念。トランプ米大統領が、米中交渉の長期化をにおわせる発言をしたというのが米株軟調の理由に挙げられているが、これが的を射た解釈とは到底思えない。東京市場でも半分首を傾げながら、その“買い見送りモード”に乗った形だ。しかし、実際売りが目立ったのは内需の小売や情報通信であり、キーエンス<6861>やSMC<6273>、安川電機<6506>、ダイフク<6383>といった設備投資関連やコマツ<6301>、日立建機<6305>といった建機株など中国関連株に位置付けられるセクターは概ね高いものが多い。株式市場の内側を見れば全体相場の解釈とは真逆に動いている。
売買代金の低迷については完全に常態化している。17日の東証1部の売買代金は1兆8400億円となり、これで11営業日連続の2兆円割れ。2016年10月に記録した12営業日以来約2年9カ月ぶりで、あすも2兆円割れならこの記録に並ぶことになる。
21日に参院選を控えるが、あまり相場にプラスの変化は期待できないという声が市場関係者の大半を占める。国内企業の20年3月期中間期の業績は2ケタ経常減益の可能性が高まっているが、秋には消費税引き上げが待っており、米中摩擦問題の余波を考慮すれば、通期業績も減益に落ち込む公算が大きくなってきた。頼みの綱は独り勝ちの米国が主導する世界的な利下げ期待だ。国内は日銀に利下げ余地が少ないと言われるが、実際にグローバル資金の流動性が高まれば、日本にもその潮流が流れ込む可能性は高い。
ここ最近は資金の回転が速く、中小型株にも正直厳しい地合いとなっている。とはいえ、今の東京市場で全体指数に連動する主力株を買い溜めてホールドするのはよほど忍耐力がいる。割り切ってヒット&アウェイで参戦するか、そうでなければ“待つも相場”という選択肢をとる。キャッシュポジションを高めに維持することは、心情的に相場の流れが見やすくなり、変化に対応しやすくなる。一つの投資戦略として重要だ。
個別では、以前にも取り上げた北の達人コーポレーション<2930>が大きく上放れてきた。まだ伸び切った印象はなく、押し目があれば狙いたいところ。ネット通販で健康食品の「カイテキオリゴ」は有名だが、最近は“刺すヒアルロン酸化粧品”として話題を呼んでいる「ヒアロディープパッチ」が同社の代名詞ともいえるドル箱商品として脚光を浴びている。
SNS上での風評被害や炎上対策などネットリスク回避ソリューションを手掛けるエルテス<3967>もマークしたい。急騰後に中段で売り物をこなし、怖いところではあるが、もう一段の上値を出す可能性がありそうだ。リスク検知に特化したビッグデータ解析技術に強みを持っており、情報銀行向けソリューションでも活躍が期待されている。
急落後のリバウンド狙いではAIアルゴリズムを活用したソフトのライセンス販売を展開するPKSHA Technology<3993>はどうか。前日まで4日続落で、この間に1000円以上下げたが、きょうは反発に転じた。前週末に354万株の公募と上限53万1000株のオーバーアロットメントによる売り出しを発表、これによる既存株主の1株利益希薄化がダメ押しの下げを呼んだが、元来足もとのPERで株価が評価されている銘柄ではないことを理解しておく必要がある。主力の画像認識ソフトや顧客対応自動化ソフトなどが高水準の需要を捉えているだけに、目先的には買い場となっている可能性もある。
日程面では、あすは6月の貿易統計、6月の首都圏新規マンション販売などがある。海外では6月の米景気先行指標総合指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などが注目される。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)
最終更新日:2019年07月17日 18時58分