【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ トランプ爆弾、再び!
「トランプ爆弾、再び!」
●トランプ大統領を試す中国
さて、週末の日経平均株価の急落をどう見るかだ。もちろん、下落要因ははっきりしている。トランプ爆弾の投下だ。
同大統領は1日、唐突とも思えるタイミングでツイッターに「3000億ドルの中国製品に9月1日から10%の追加関税を課す」と投稿した。投稿通りに実施されれば、ほぼすべての中国製品に課税されることになる。貿易摩擦の激化が懸念されて、日米市場ともに一斉売りに見舞われてしまったことになるが、それにしても米中貿易協議、なかなか前に進まないようだ。
米国と中国は上海で2日間にわたって閣僚協議を行ったものの、進展はなかった。中国は、どうもトランプ米大統領を試している感じがある。譲歩するように見せて実際には譲歩せず、トランプ大統領がどう出るかを観察し、不満を表明すると譲歩の姿勢を見せてそれを緩和させるが、また何もしない。
要するにトランプ大統領の人間性、これまでの言動を踏まえ、あれこれと出方をうかがっていると見てよい。トランプ大統領はそれを力ずくで押しつぶす作戦だが、中国は当然それも読んだ上で高度で巧妙な戦略を駆使しているといったところだ。
こうなるとトランプ大統領には、力づくで関税を引き上げる他はなく、本人も「俺にそこまでやらせるなよ」と言いたいところだろう。
●繰り返しに学ぶ市場
しかしこの問題、これまで幾度も似たようなことが繰り返されてきた。トランプ大統領が苛立って「課税強化」を言い出した時は株式市場が一時的に下げるものの、間もなく回復、問題のない展開となる。
今回もこれまでと同じような繰り返しになると見てよい。市場は当然、同じような繰り返しからは学習してきており、目先すぐに回復とは行かないにしても、次第に正常展開に戻ると見てよい。幸い、短期のトレンドを示す25日移動平均線も上向き続けている。
そこで注目は、まずは高値をつけたあと株価が25日移動平均線まで下げているソニー <6758> だ。業績好調を材料に買われていたが、上昇ピッチが早く買いにくかった。いまは適度な押しが入った格好、狙い目だ。
同様の観点から、25日移動平均線はすでに割り込んだものの、下値支持線6800円近くまで下げているトヨタ自動車 <7203> も、反発が近いと見る。
こうなるとソフトバンクグループ <9984> はどうかということになるが、こちらは下値支持線5300円前後まではまだ距離があり、私なら買いを見合わせたい。
では、他にはどんな銘柄が? 会員割引サービスの導入で出店を取りやめる企業が相次ぎ、マスコミの集中砲火を浴びたZOZO <3092> も、ようやく株価復活の兆しが見えた。収益が上向きはじめたのだ。まだ、マスコミの批判は続いているものの、最悪期は脱したと見てよく、今後は続伸する確率が高い。
7月31日に好決算を発表しながら、翌8月1日に急落したデジタルアーツ <2326> も、いまは再起を見込んで拾っておきたい状況だ。ネットセキュリティ最大手であり、今後も増収増益は確実なだけに、株価がこのまま下げっぱなしとは考えられない。
高値圏にある銘柄にも目を向けておくと、オリゴ糖製品に強い北の達人コーポレーション <2930> 、ガン患者など終末期ケアを行うホスピス住宅を運営している日本ホスピスホールディングス <7061> [東証M]がともに魅力的だ。
2019年8月2日 記
株探ニュース