明日の株式相場戦略=リスクオフの奔流、機動的売買で乗り切る

市況
2019年8月5日 17時48分

週明け5日の東京株式市場は前週末のリスクオフの奔流が更に勢いを増す展開となり、日経平均は2万500円近辺まで一気に水準を切り下げた。前週末2日の大引けは453円安の2万1087円だった。きょうザラ場の安値は2万514円で、そこから570円強の下落、2営業日合計の下げ幅は一時1000円を超えた。

米中貿易交渉が遅々として進展する気配がない。しびれを切らしたトランプ米大統領は対中国追加関税の第4弾発動を表明、これを受けて中国側も報復措置を示唆し、両国間の交渉は暗礁に乗り上げる格好となった。もっとも、こうした駆け引きはこれまでに何度も繰り返されてきた。売り方にすれば“ガラが来た”と空売りから入って、踏み上げ相場の肥やしになってしまうパターンの繰り返し。この米中摩擦は確かに設備投資の減速など企業マインドを低下させるが、実際、世界経済に与える動揺が半永久的に続くと考えるのは錯覚といえる。

一方で、米国を基点として世界的な金融緩和ムードが浸透しつつある。ここからの各国中央銀行の一挙一動に注目となるが、世界景気減速懸念が流動性相場の導火線になっていることは常に念頭に置いておきたい。

米国の小説家アン・ラモットいわく「凪の時に一番よく学べることと、嵐の時に一番よく学べることがある」。これは株式市場にもそのまま当てはまる至言だ。足もとはいきなりの暴風雨に晒されているが、どんなに悪天候でも遅かれ早かれ雨は上がる。そして空には虹がかかり、当たり前のように風のない晴天が訪れる。米中摩擦で波乱となった過去の事例に学べば、ここは早晩訪れる晴天をイメージして買い下がるのが正しい選択肢だ。

怖いのは円高だが、トヨタ自動車<7203>は前週末2日の決算で今期の通期想定為替レートを1ドル=106円(第2~4四半期想定は105円)に修正しており、非常にクールな印象を受けた。これを見る限り、現状はまだ株式市場が売り方に蹂躙されてしまうような円高に遭遇しているわけではないということが分かる。人民元安についても、中国からの資本流出を意味していると解釈すれば大ごとにも思えるが、人民元安は米国の関税引き上げに対する緩衝材となっていることは事実であり、したたかな中国政府の意思が働いている可能性がある。

きょうはタイミング的にはポイントの日であり、ここから日経平均がリバウンドに転じる公算は小さくない。今週はオプションSQを週末に控え、これも需給的な思惑を増幅させる。仮に、今週戻りに転じても来週2番底を探しに行くケースが考えられ、引き続き手元流動性は高めに、機動的な売買を心掛けるのが投資スタンスとして有効と思われる。

個別では、「サイバー防衛関連」でハイパー<3054>が大立ち回りを演じた。会社側が中期計画で明確に情報セキュリティー分野への注力を示している。同関連株として500~600円の株価は見直されて当然と思われる。目先反動安はあっても押し目形成場面は波状的に買いを引き寄せる可能性がある。

また、このほかセキュリティー関連では指紋認証など生体認証システムを手掛けるディー・ディー・エス<3782>も340円ラインを横に走る75日移動平均線を下ヒゲで踏みとどまっており狙い目か。決算発表を9日に控えている点は踏まえておきたい。

波乱相場に強い銘柄としては、いい生活<3796>をマークしたい。不動産業界のIT化の担い手として商機を捉えている。不動産マーケットに必須のシステム・アプリケーションを開発し、クラウドサービスで提供するビジネスモデルは、中期的にも成長期待が強い。信用買い残もほとんど重荷にならないレベル。株価はここ10年来250~500円の長期ボックスだが、この価格帯を上抜けば上値が一気に開ける。

日程面では、あすは6月の家計調査、6月の景気動向指数が開示される。7月の輸入車販売、7月の車名別新車販売なども発表される見通し。海外では豪州準備銀行理事会、6月の豪貿易収支などが注目される。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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