明日の株式相場戦略=ピンチがチャンスに変わる瞬間を待つ
3連休明けとなった13日の東京株式市場は売り優勢に傾いた。前日の米国株市場でNYダウが一時450ドル以上の下げをみせるなど波乱含みの動きとなったことで、リスクオフの流れはいかんともし難かった。ハイボラティリティな展開には目が慣れてきたとはいえ、NYダウは前週7日に長い下ヒゲ陽線をつけて切り返しに転じた矢先であっただけに、週明けに再び長い陰線を引いたことは、やや残念なムードをマーケットにもたらした。
米長期金利の急低下が、世界経済の変調を意識させる方向に作用している。また、香港のデモが激化する一方、その負の連鎖が地球の反対側にもジワリと広がってきたような感触。週明けのアルゼンチンの株価急落は日本株を悲観に叩き込むようなインパクトはないと思われたが、それでも日足をみると、一瞬息を飲む。率にして38%の下落というのはパニックに近い。何か裏側に新興国経済の重大なリスクを潜在させているのではないかという思惑。アルゼンチンの株暴落、そして通貨ペソの下落は、大統領予備選で左派ポピュリスト候補が勝利したことが背景にあるが、それにしても、である。「後で振り返れば、“カナリヤが鳴いた”ということだったと我々は認識させられるかもしれない」とは国内ネット証券アナリストの言葉。
ただ、弱気に凝り固まっていては何も見えてこない。ピンチはチャンスというのが株式投資の黄金セオリーだ。蛮勇にならないよう慎重な姿勢を維持しつつも、前向きにマーケットと対峙したいところだ。
個別ではアドバンテスト<6857>が全体下げ相場に抗して反発、きょうも気を吐いた。正直ここで買いに動くのは躊躇するが、いずれにせよ今の4000円台前半でのもみ合いが上下どちらに向かう踊り場となっているのか、見極める必要がありそうだ。「半導体メモリー価格は先月あたりから底入れを示唆する動きをみせており、単なる空売り買い戻しの残滓で同社株が高値圏を維持しているのではないだろう」(国内証券ストラテジスト)という主張も聞かれる。もし、そうであれば他の半導体関連にも遅かれ早かれ物色の矛先が向かうことになる。
このほか、“強い株につけ”を実践するのであればゲームソフト開発の日本ファルコム<3723>。1400円近辺で5日・25日・75日移動平均線が収れんしており、ここを足場にもう一段の上昇があって不思議はない。19年9月期第3四半期(10~6月)の営業利益は前年同期比97%増の9億6100万円。対通期進捗率は96%に達している。
また、全体地合いに左右されない小型株としては高橋カーテンウォール工業<1994>に着目したい。ビル外壁用のカーテンウォールのトップで、豊富な受注残を武器に19年12月期上期(1~6月)営業利益は前年同期比2.1倍の13億200万円と好調だ。PER4倍でPBRは0.8倍前後、配当利回り4%超で株価指標面からも非常に割安感が強い。
日程面では、あすは6月の機械受注統計と7~9月期の見通しが発表される。また、海外では中国で重要経済指標の発表が相次ぐ。7月の中国工業生産高、小売売上高や固定資産投資、不動産開発投資などが要注目となる。また米国では7月の輸出入物価指数が開示される。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)