今夏熱く燃えるeスポーツ関連株、成長はまだファーストステージ <株探トップ特集>

特集
2019年8月14日 19時30分

―競技人口は世界で1億人超、日本では茨城国体など注目大会相次ぐ―

eスポーツが国内外で急成長している。日本はeスポーツの分野では、世界で出遅れているのが実情だが、8月には「eスポーツの甲子園」と呼ばれる国内最大級の高校生対抗eスポーツ大会が開催される。10月には茨城国体に合わせて「都道府県対抗」大会も実施される。また、新たな地域活性化策として注目する自治体も増えており、各地でのイベント開催も増加傾向にある。競技人口は世界で1億人を超えるとも言われ、巨大産業に育ちつつあるeスポーツの関連銘柄を探ってみた。

●米国で16歳の少年が賞金3億円を獲得、いまや男子中学生の人気職業に

夏休みに入り朝からゲームばかりしている我が子の姿を見て、将来を憂えている方も少なくないだろう。しかし、その不安は杞憂に終わりそうだ。いま国内外で増加しているeスポーツプレーヤーは立派な職業となりつつある。eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称である。いまや格闘ゲーム、レースゲーム、シューティングゲームをはじめとした通信対戦が可能なゲームで高額な賞金が懸けられた大会が世界各国で開催されている。米ニューヨークでは、7月に初開催された人気のオンラインシューティングゲーム「フォートナイト」(米エピックゲームズ社)の世界大会フォートナイト・ワールドカップにおいて、16歳の少年が約3億円の賞金を獲得している。海外では既に1億円以上を稼ぐプロプレーヤーも多数存在している。ソニー生命保険が実施した「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」の調査結果によると、男子中学生が将来なりたい職業の1位が「YouTuberなどの動画投稿者」、2位に「プロeスポーツプレーヤー」が登場している。3位は「ゲームクリエーター」だった。

●国内最大級の高校生eスポーツ大会「STAGE:0」に関心集まる

日本におけるeスポーツでは、「刑法」、「風営法」、「景表法」といったクリアすべき3つの法律があるため、賞金総額では世界との比較で見劣りする。そのため、成長著しいeスポーツ産業において、日本は世界に出遅れているのが現状だ。動画配信サービスによるeスポーツ関連コンテンツの放送は年々増加傾向にあるが、大手放送メディアがeスポーツコンテンツを報道以外の目的で取り上げることはほとんどみられていない。

それだけにeスポーツを国内で普及させるためには、プロ選手が活躍する大規模大会のみならず、アマチュアのプレーヤーも参加可能な小・中規模大会の開催数を増やすことで、コミュニティーを形成していくことが不可欠だ。そんななか、8月には様々な大会が開催される。

8月14~15日には、国内最大級の高校生対抗eスポーツ大会「STAGE:0(ステージゼロ)」の決勝大会が「舞浜アンフィシアター」(千葉県浦安市)で開催されている。eスポーツの甲子園とされ、国内最大級の高校生対抗eスポーツ大会となる。第1回となる今年は、世界中でプレーされている「クラッシュ・ロワイヤル」(フィンランド・スーパーセル社)、「フォートナイト」、「リーグ・オブ・レジェンド」(米ライアットゲームズ社)の3つのゲームで開催される。「クラッシュ・ロワイヤル」のエントリー総数は517校、582チーム(3人1組)、「フォートナイト」エントリー総数は909校、1138チーム(2人1組)、「リーグ・オブ・レジェンド」エントリー総数は49校、60チーム(5人1組)と学生の間での知名度の高さがうかがえる。主催はテレビ東京(テレビ東京ホールディングス <9413> )、電通 <4324> であり、トップ・スポンサーは日本コカ・コーラ(コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス <2579> )である。

●ガンダムゲーム大会史上最高賞金額の「GGGP2019」も開催

また、ガンダムゲーム大会史上最高賞金額のeスポーツ大会「GUNDAM GAME GRAND PRIX 2019(GGGP2019)」が8月24~25日に幕張メッセで開催される。「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」と「機動戦士ガンダム 戦場の絆」の2タイトルを対象に行われるため、ソフトを手掛けているバンダイナムコホールディングス <7832> のほか、同社グループでビデオゲーム、アミューズメント商品などの卸売を手掛けるハピネット <7552> が注目される。加えて、これらゲームはプレイステーション4(PS4)対応でもあるため、ソニー <6758> への波及もみられそうだ。更に8月31日には障害者限定のeスポーツ大会「第1回障害者eスポーツ大会2019 GUNMA」が群馬県高崎市で開催される。

加えて、「茨城国体2019」に合わせて「都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」が10月4~6日に開催される。日本でもっとも大きなスポーツの祭典である国体に合わせたeスポーツ大会の開催は高い関心を集めている。このように、ようやく国内でも盛り上がりがみられるなか、eスポーツは“たかがゲーム”とは言えない状況にある。

●eゲーム関連機器でZOAやPCNET、MCJなど

さて、どんなスポーツでも上達するには日々の練習が大切。そして、その練習がeスポーツに関連する企業の業績へ貢献することになる。既存のゲーム機器のほか、ちょっとしたゲームだけならノートパソコン(PC)でも十分だが、負荷の高いゲームを高画質設定でプレーしたり、同時に実況、ライブ配信、動画編集したりするには、冷却性と性能面に優れたデスクトップ型のゲーミングPCが求められる。ゲーミングPCは初心者向けで10万円台から、本格的なものとなると50万円台と高額になるほか、自作する人たちも多い。家電量販店大手のビックカメラ <3048> のほか、パソコン量販店のピーシーデポコーポレーション <7618> 、アプライド <3020> [JQ]などが注目される。また、ZOA <3375> [JQ]はパソコン専門店を展開するほか、パシフィックネット <3021> [東証2]は中古パソコンのリユース・リサイクル事業を展開している。MCJ <6670> [東証2]はマウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」を展開。メルコホールディングス <6676> はメモリー、HDD、ネットワーク機器などで国内トップシェア。EIZO <6737> は、ハイエンドモニターを手掛けるディスプレー装置専業メーカーであり、エレコム <6750> はマウスやUSBメモリーなどで国内販売台数トップ。アイ・オー・データ機器 <6916> は、ゲーミングモニター「GigaCrysta(ギガクリスタ)シリーズ」を展開している。

●「ウイニングイレブン」や「ストリートファイター」は定番ゲームに

また、eスポーツで使用されるゲームのタイトルも多岐にわたる。タイトルによってルールは異なり、プレーする選手やファンもタイトルごとに存在する。eスポーツ産業はこれらタイトルごとに存在する選手・ファンのコミュニティーによって構成されている。コナミホールディングス <9766> が手掛ける最も有名なサッカーゲームシリーズ「ウイニングイレブン」や、本格的な野球ゲームシリーズである「実況パワフルプロ野球」。その他、格闘ゲームの基礎を築いた「ストリートファイターシリーズ」はカプコン <9697> が開発・販売し、eスポーツの発足前より各ゲームセンターで非公式の大会があるなど、非常に人気の高い作品だ。その他、対戦型格闘ゲーム「鉄拳シリーズ」はバンダイナムコホールディングス、「グランツーリスモシリーズ」はソニーが手掛ける。アクションパズルである「ぷよぷよ」もeスポーツに特化した「ぷよぷよeスポーツ」があり、開発・販売元はセガゲームス(セガサミーホールディングス <6460> )である。

●YouTuber関連で共同ピーアールやデジハHDなど注目

更に、注目される業界といえば、YouTubeだろう。ゲームプレー動画をYouTubeで配信するYouTuber(ユーチューバー)が増えており、大手ゲーム開発会社では、ユーチューバーが自社の最新ゲームをプレーする様子をインターネットでライブ配信してもらっている。採用されるゲームは世界的にも人気の高いゲームとなる。それゆえにゲームについても広告戦略として、ユーチューバーが重要視されている。YouTubeで活躍するユーチューバーが多数所属しているUUUM <3990> [東証M]やバーチャルYouTuber(Vチューバ―)を活用したPR支援事業を展開している共同ピーアール <2436> [JQ]、日本最大級の総合ゲーム情報サイト「4Gamer.net」を展開するデジタルハーツホールディングス <3676> なども関連銘柄として位置づけられよう。

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