金価格を支える要因と懸念すべきマイナス要因~もっと知りたい商品先物取引

市況
2019年8月16日 17時10分

みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回のコラムでは金価格が足元で上昇している要因と、懸念されるマイナス要因について説明します。

■金価格は堅調推移

金価格は5月末から相変わらず上昇を続けています。東京商品取引所(TOCOM)の先物市場にて金価格は5月31日につけた4,518円(1グラムあたり)を起点に上昇を続け、足元の8月15日に5,155円(2020年6月限)で引けています。

■金価格上昇の背景は景気減速

このような上昇を支えている要因の1つは債券利回りの低下です。米国では7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げました。10年半ぶりの利下げとなります。利下げがされれば債券を保有することで受け取れる利子は減ってしまい、相対的に債券の魅力が低下してしまいます。その場合に関心が向かいやすいのは、債券と同じく株価の値下がりをヘッジする狙いで買われることもある金です。そもそも米国が利下げをしている理由は、景気減速への懸念が高まっているからです。そうなれば株価も下落してしまう懸念があるため、金を買うことでリスクをヘッジしようとしていると考えることもできます。

■景気減速による中国の実需の減少はマイナス要因

一方、金価格の今後のマイナス要因として懸念されているのは中国の景気低迷です。景気減速は金価格の上昇では?と思われるかもしれません。同国は金消費需要量(宝飾品と現物投資)で6年連続世界1位となっています。2018年には世界の総需要3290.1トンのうち中国の需要が976.7トンとなっており、約3割を占めています(World Gold Councilより)。中国の景気が減速してしまうと、所得の減少で特に宝飾品など実需の買いが減ってしまいます。

■景気の低迷により、固くなる中国の財布のヒモ

それでは2019年上半期の中国の金需要を見てみましょう。2018年下半期比では4.7%減の335トンなので、 一見すると安定していますが、前年同期比では14.5%減と大きく落込んでいます。景気の低迷が消費を手控えさえ、金の宝飾品需要も同様に減少しています。米国との貿易交渉が経済に重くのしかかっており、中国では景気の悪化で失業率が高まっています。そのため消費者の財布のひもは固くなっているのです。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ

《HT》

提供:フィスコ

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