新興市場見通し:不安定感強いが売買は徐々に増加、9月IPOも続々発表
先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数や日経ジャスダック平均も下落が続いた。米中摩擦などを背景とした世界経済の減速懸念が金融市場に広がり、米国では長短金利の逆転が起きた。新興市場も株式相場全体の地合いを睨みながらの不安定な展開で、主力株を中心にリスク回避目的の売りが優勢となった。ただ、決算発表シーズンの最終盤で見直し買いが向かう銘柄も散見された。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.3%であったのに対して、マザーズ指数は-2.2%、日経ジャスダック平均は-1.7%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で7.5%安、そーせいグループ<4565>が同9.0%安と軟調だった。しかし、決算発表のミクシィ<2121>は同5.4%高。第1四半期こそ大幅減益だったが、第2四半期の回復に期待する声が出ている。第1四半期決算が計画を上回ったラクス<3923>は同18.2%高となった。売買代金上位ではバンク・オブ・イノベーション<4393>やインパクトHD<6067>のように大きく値下がりした銘柄も多く、アドベンチャー<6030>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、ジーエヌアイグループ<2160>やKudan<4425>が決算をきっかけに大きくリバウンド。また、Lib Work<1431>が上昇率トップとなった。値動きの軽い小型材料株が物色を集めやすかった面もあるようだ。ジャスダック主力ではワークマン<7564>が同2.6%安、セリア<2782>が同5.3%安と軟調だったが、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は底堅さを見せ同8.4%高となった。売買代金上位ではセプテーニ・HD<4293>が利益確定売りに押され、LCHD<8938>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、業績修正のアエリア<3758>が買いを集め、UTグループ<2146>も見直し買い優勢。また、マジェスティ ゴルフ<7834>が上昇率トップとなった。
今週の新興市場は、引き続き不安定な相場展開を強いられそうだ。米中摩擦を筆頭に不安材料が多く、個人投資家の警戒ムードも容易には払拭されないだろう。ただ、新興市場でもマザーズ指数が800pt台半ばまで下落する場面では押し目買いの動きが見られる。決算発表シーズンを終えて、値幅取り狙いの物色が再び中小型株に向かい始め、新興市場の売買代金も回復しつつある。まずはマザーズ指数が上値を抑えている5日線を突破できるか注目したい。
UTグループは第1四半期決算の発表直後こそ売られたが、証券各社が上位レーティングを据え置いたこともあり、一転して見直し買いが広がった。決算発表が一巡し、好業績銘柄には評価引き上げの動きも出てくるだろう。また、アエリアなどゲーム関連株の一角が物色を集めるなか、9月12日からの「東京ゲームショウ2019」への関心も高まってきそうだ。ブシロード<7803>、CRI・ミドルウェア<3698>などが出展を予定しているという。
IPO関連では、Chatwork<4448>(9月24日、マザーズ)など4社の新規上場が発表されている。9月のIPO件数は現時点で5社。ビジネスチャットツールのChatworkに加え、電子ギフトのギフティ<4449>(9月20日、マザーズ)など注目度が比較的高いベンチャー企業の上場が相次ぐ。ただ、公開規模も大きいため、相応の需要を集められるか注視したい。
《FA》
提供:フィスコ