藤代宏一氏【米国株は戻り足、日経平均続伸で視界は変わるか】(1) <相場観特集>

特集
2019年8月19日 18時30分

―景気減速と政策期待の狭間で揺れる夏相場後半戦を読む―

週明け19日の東京株式市場は、日経平均株価が続伸し一時2万600円台に歩を進めた。前週末の米国株市場でNYダウが300ドルあまり上昇するなど、リスクを取る動きが優勢となったことが追い風となったが、全体売買代金は低調で市場参加者不足が目立つ。世界景気減速懸念が強まる一方、金融緩和や財政出動などの経済政策に期待がかかるなか、8月から9月にかけて東京市場にはどういう景色が広がるのか。市場第一線で活躍する関係者に意見を聞いた。

●「9月FOMCに向け緩和姿勢強化も、2万1000円中心に上値意識」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

今後1ヵ月程度の金融市場を見るうえでは、23日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホール会議での発言に加え、特に来月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目を集めそうだ。

相場は全体的に底堅い展開を予想しており、日経平均のレンジは2万~2万2000円を見込む。2万1000円を中心に徐々に上値を意識する展開を予想する。

先週の米国市場では逆イールド発生などが警戒されたが、その警戒感を払拭するためにFRBは来月のFOMCで0.25%の利下げを実施し、その後の0.25%の再利下げも強くコミットメントするような大幅利下げを織り込ませる姿勢を打ち出してくることが予想される。また、ジャクソンホール会議でパウエル議長は、金融緩和姿勢を打ち出したうえで、財政出動の有効性などについて触れることもあり得るだろう。ドイツや中国で財政出動の観測が浮上するなか、パウエル議長が財政政策に前向きな姿勢を示すなら、株式市場は好感するだろう。このなか、NYダウも2万7000ドル台を回復する展開が見込める。

来月18~19日に予定されている日銀金融政策決定会合でマイナス金利の深掘りのような追加緩和はないと見ているが、それに伴い大幅な円高が進むこともないだろう。為替相場は1ドル=105~108円を中心とする横ばい基調を予想する。

日経平均も底堅い値動きが見込めるが、当面の物色の中心となるのは、消費増税での影響が懸念される内需銘柄ではなく、電子部品などのような外需株だろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)

第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.