藤代宏一氏【米国株は戻り足、日経平均続伸で視界は変わるか】(1) <相場観特集>
―景気減速と政策期待の狭間で揺れる夏相場後半戦を読む―
週明け19日の東京株式市場は、日経平均株価が続伸し一時2万600円台に歩を進めた。前週末の米国株市場でNYダウが300ドルあまり上昇するなど、リスクを取る動きが優勢となったことが追い風となったが、全体売買代金は低調で市場参加者不足が目立つ。世界景気減速懸念が強まる一方、金融緩和や財政出動などの経済政策に期待がかかるなか、8月から9月にかけて東京市場にはどういう景色が広がるのか。市場第一線で活躍する関係者に意見を聞いた。
●「9月FOMCに向け緩和姿勢強化も、2万1000円中心に上値意識」
藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)
今後1ヵ月程度の金融市場を見るうえでは、23日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホール会議での発言に加え、特に来月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目を集めそうだ。
相場は全体的に底堅い展開を予想しており、日経平均のレンジは2万~2万2000円を見込む。2万1000円を中心に徐々に上値を意識する展開を予想する。
先週の米国市場では逆イールド発生などが警戒されたが、その警戒感を払拭するためにFRBは来月のFOMCで0.25%の利下げを実施し、その後の0.25%の再利下げも強くコミットメントするような大幅利下げを織り込ませる姿勢を打ち出してくることが予想される。また、ジャクソンホール会議でパウエル議長は、金融緩和姿勢を打ち出したうえで、財政出動の有効性などについて触れることもあり得るだろう。ドイツや中国で財政出動の観測が浮上するなか、パウエル議長が財政政策に前向きな姿勢を示すなら、株式市場は好感するだろう。このなか、NYダウも2万7000ドル台を回復する展開が見込める。
来月18~19日に予定されている日銀金融政策決定会合でマイナス金利の深掘りのような追加緩和はないと見ているが、それに伴い大幅な円高が進むこともないだろう。為替相場は1ドル=105~108円を中心とする横ばい基調を予想する。
日経平均も底堅い値動きが見込めるが、当面の物色の中心となるのは、消費増税での影響が懸念される内需銘柄ではなく、電子部品などのような外需株だろう。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。
株探ニュース