明日の株式相場戦略=“機械の仕業”から距離を置く銘柄に活路

市況
2019年8月22日 18時01分

きょう(22日)の東京株式市場は相変わらずの低調商いのなか、前日とは逆のパターンで、日経平均は朝高後に下に引っ張られる展開となった。引け際に買いが入り9円高とかろうじてプラス圏で着地したものの、体温の感じられない地合いだったといえる。

前日は寄り直後にその日の安値を形成したが、逆にきょうは寄り直後に日経平均は113円高で2万731円まで駆け上がり、そこが1日を通じての高値となった。基本的に市場参加者が見えない相場で、寄り付きのプログラム売買で乱気流が発生したあとは、2万600円ラインに無機質にサヤ寄せする相場が2日間続いている。

目先的にドル円相場に対するマーケットの関心はそれほど高くはなく、それは昨日と今日のトヨタ自動車<7203>のボラティリティの乏しさを見ても分かるが、実際、日経平均を見ればドル円相場の軌跡をなぞるような値動きとなっている。きょうは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を前に、海外ファンド筋がポジション調整の売りを出したという解釈がなされているが、そこに“相場観”は存在せず、いわゆる株価指数と為替動向をリンクさせた“機械の仕業”オンリーということになる。

そのなか、きょうは大型株のなかで、数少ない血の通った売買といえば資生堂<4911>。前日発表された7月の訪日外国人観光客数が前年同月比5.6%増と単月としての過去最高を更新するなか、中国人訪日客の伸びが顕著だったことから、中国向け売上比率の高い同社株に大口の資金が向かった。引け際に前日比500円高近い派手な上昇パフォーマンスもさることながら、同社株が東証1部の売買代金ランキングでソフトバンクグループ<9984>に次ぐ、堂々の第2位となったことは特筆に値する。

もっとも、斜に構えた言い方をすれば閑散相場の象徴で、大口資金にとってきょうの相場は、訪日客数を材料に同社株を買う以外の見せ場が見当たらなかったともいえる。

そうしたなか、個人投資家マネーは機械的売買の影響を受けない材料株に活路を見い出している。引き続きゲーム関連の周辺株を物色する動きが旺盛だ。来月は全体マーケットにとって9月18日のFOMCが大きなヤマ場となっているが、個別では12~13日(一般公開は14~15日)の「東京ゲームショウ2019」がひとつのイベントとして関連株を刺激している。KLab<3656>、enish<3667>の深追いはリスクが大きいなどというのは釈迦に説法、静かなる“踏み上げ相場”が繰り広げられているのが現状だ。また、GameWith<6552>については27万株を上限とする自社株買い発表が株価を更なる高みに押し上げる格好となった。

ゲーム関連以外でも強い銘柄はある。例えばギークス<7060>が下値切り上げ波動を継続し3700円台に歩を進めている。7月10日の戻り高値3530円や同月26日の戻り高値3625円など、ことごとく上値のフシを突破しており、この動きに乗ってみる価値はありそうだ。同社はフリーランスのIT人材を企業とマッチングさせる仲介ビジネスを展開している。IT人材不足と同時進行的に近年はフリーランス市場が拡大する傾向が強まっていることで、同社に商機が広がっている。

Orchestra Holdings<6533>も注目しておきたい。デジタルマーケティング事業を手掛け、ネット広告市場の拡大を背景に運用型ネット広告で時流を捉え、成長期待が強い。14日取引終了後に発表した19年12月期中間期の決算が営業利益段階で前年同期比3.4%減と低調だったことで大きく売り込まれたが、マドを開けて300円も下に叩かれたのは行き過ぎ。減益は先行投資による部分が多く、トップラインは順調に伸びている。まして同社の中期成長力を否定するものではなく、絶好の逆張り対象として果実をもたらす可能性がある。

日程面では、あすは7月の全国消費者物価指数(CPI)が発表される。また、海外では7月の米新築住宅販売件数が開示される。なお、米ワイオミング州ジャクソンホールの国際経済シンポジウムでは、日本時間午後11時にパウエルFRB議長の講演が予定されている。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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