刮目すべき半導体関連の潜在力、「5G」普及の追い風吹く <東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2019年8月22日 20時00分

8月17日付の日本経済新聞は「直近並みの1ドル=106円、1ユーロ=117円の水準が今後続くと、主要20社の2019年度の営業利益を合計約2500億円押し下げる見通しだ」と報じた。

各国が金融緩和へと傾斜する中、中国との貿易摩擦の影響や景気減速が警戒される米国では、トランプ大統領が「短期間に100bp(ベーシスポイント)の利下げと幾分かの量的緩和も必要」と主張しているだけに、筆者は1ドル=100円程度への 円高進行は十分あり得ると考えている。

仮に円高が1ドル=100円程度まで進むと、日本の輸出企業に関していえば7000億円程度の減益要因となる可能性もあるだろう。

これに加えて、10月の消費増税と中国経済失速の影響を考えれば外需銘柄は買いにくい、と筆者と同様に考える海外投資家や機関投資家も多いのではないか。

為替睨みではあるものの、日経平均株価は2万円の大台を割り込み、2018年末につけた1万8948円を視野に入れる動きが出てきてもおかしくはないと考えている。

ただ、ここで気になるのは決算発表に合わせて、半導体受託生産の世界最大手であるTSMC(台湾積体電路製造)や半導体製造装置で世界首位の米アプライドマテリアルズが「半導体市況は第2四半期に底を打ったようだ」とコメントしていること。

半導体関連に関していえば、世界シェアが高く、価格決定権を握る企業は、苦境のなかでも最先端技術などでライバルとの差異化を図ろうとしている。半導体市況が最悪期を脱したとするならば、これら企業を中心に回復の果実(数量増と価格引き上げメリット)を享受する可能性は高いのではないか。

中国が先行する「5G」だが、今後、東京オリンピックを控える日本やアメリカなども猛追し、IoTがグローバルで本格普及する環境が整えられていくと考えられる。

5Gへの設備投資は半導体市場の成長を牽引するとみられている。仮に全般市場が下押す局面で半導体関連株がツレ安する場面があれば、中長期の視点からその投資妙味が見直される可能性は十分あるのではないだろうか。

◆東条麻衣子

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