来週の相場で注目すべき3つのポイント:ECB理事会、メジャーSQ、東京ゲームショウ2019

市況
2019年9月7日 19時47分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限21500-下限20800円

注目の米8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を下振れた一方で、平均時給の伸びが加速した。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の講演は概ね予想通りの内容となるなか、雇用統計について景気後退に繋がる内容ではないとの見方が示された。今週の日経平均は上昇一服が見込まれるが、節目の21000円台を維持できるかが焦点となってこよう。9月5日の日経平均大幅高で東京市場の潮目は1つの変化を見た。米中通商問題では10月前半に閣僚級協議がワシントンで再開される見通しとなり、8月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数の50割れで警戒された米国経済も、5日に発表されたADP雇用統計とISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことで安心感を取り戻す形となった。このほか、中国人民銀行の預金準備率の引き下げ観測、香港の逃亡犯条例改正案の撤回など、複数の懸念材料の後退が見られた。こうしたなか、12日に欧州中央銀行(ECB)定例理事会とドラギ総裁会見、来週18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエルFRB議長会見、19日には日銀金融政策決定会合と黒田日銀総裁会見と、3大金融イベントが控えることから、目先の利益を確保する動きも出てきやすいことが予想される。また、米8月小売売上高をはじめ日米中の経済指標の発表が多いことに加え、13日にはメジャーSQ(特別清算指数)が控えており、先物の動きも神経質になりやすいタイミングである。このほか、株式市場には中立要因ながらも11日に内閣改造と自民党役員人事が予定され、3連休(14日から16日)前というカレンダー事情から模様眺めムードも台頭しやすい。米中摩擦や米国景気の動向において、過度な悲観論が後退する一方で、金融イベントとの「綱引き」が日経平均21000円台で展開されることになりそうだ。

一方、物色的には10日(日本時間11日早朝)の米アップルの新製品発表会、12日からの「東京ゲームショウ2019」の開催が電子部品、ゲーム関連株を刺激するとの期待がある。前週はソニー<6758>が年初来高値を更新しているが、任天堂<7974>も7月の年初来高値42050円に迫っている。ゲーム関連株の中核にあるこの2銘柄の動きに関心が向くことになりそうだ。このほか、12日には福証Qボードながらピー・ビーシステムズ<4447>が新規上場。8月9日以来のIPO(新規株式公開)で、関連スケジュールが再び動き出すことになる。

主な国内経済関連スケジュールは、9日に7月国際収支、4-6月期国内総生産(GDP)改定値、8月景気ウォッチャー調査、10日に8月マネーストック、8月工作機械受注、11日に7-9月期法人企業景気予測調査、12日に8月国内企業物価指数、7月機械受注、7月第三次産業活動指数、13日にメジャーSQが予定されている。一方、米国など海外の経済関連スケジュールは、10日に中国8月消費者物価・生産者物価、11日に米8月生産者物価、12日に米8月消費者物価、米8月財政収支、ECB定例理事会(ドラギ総裁会見)、13日に米8月小売売上高、中秋節で中国休場が予定されている。このほか、9日は北朝鮮建国記念日、米アップルがイベント開催(新製品発表)、11日は内閣改造と自民党役員人事、一帯一路サミット(香港、12日まで)、12日は東京ゲームショウ2019(15日まで)が予定されている。

■為替市場見通し

来週のドル・円はもみ合いか。世界経済の減速に対する警戒感は消えていないが、米中貿易摩擦の段階的な解消への期待は残されており、ドル・円の取引では売買が交錯しそうだ。中国人民銀行(中央銀行)が市中銀行の預金準備率の引き下げを発表したことは、リスク回避の円買いを抑制する一因となる可能性がある。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を翌週(17-18日)に控え、今週発表される米経済指標が低調だった場合、大幅利下げ観測が再浮上し、ドル・円相場を下押しする場面もあろう。

英国議会上下両院で欧州連合(EU)からの離脱延期法案が可決されたことや、総選挙の早期実施提案の否決を受け、合意なきEU離脱への懸念はひとまず収束した。ジョンソン政権は総選挙実施の方針を改めていないが、野党勢は早期の総選挙実施に反対しており、総選挙が10月中に行われる可能性は低いとみられている。しかしながら、英国がEUに離脱期限を2020年1月31日まで延期しても、国内政治が安定する保証はない。また、ユーロ圏経済の減速懸念は消えていないことから、欧州通貨売り・米ドル買いが再び広がった場合、ドル・円の取引にも影響が及ぶとみられる。このため、新たなドル売り材料が提供されない場合、ドル・円は下げ渋る状態が続く可能性がある。

■来週の注目スケジュール

9月9日(月):貿易収支・GDP改定値(日本)、スイス失業率、独貿易収支、北朝鮮・建国記念日など

9月10日(火):工作機械受注(日本)、中国消費者・生産者物価指数、英失業率、米アップルがイベント開催など

9月12日(水):米生産者物価コア指数、米卸売在庫など

9月13日(木):コア機械受注(日本)、トルコ中銀が政策金利発表、ECB政策金利発表、ドラギ総裁が記者会見、米財政収支など

9月14日(金):鉱工業生産(日本)、欧貿易収支、米輸入物価指数・小売売上高、ユーロ圏財務相会合など

《SK》

提供:フィスコ

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