明日の株式相場戦略=往来圏を突き抜けるか正念場

市況
2019年10月15日 17時46分

3連休明けとなった(15日)の東京市場では日経平均が400円を超える上昇で2万2200円台まで上値を伸ばし、4月につけた年初来高値2万2307円(終値ベース)をも一気に視界に捉えた。

前週10~11日の日程で行われた米中閣僚級貿易協議では、中国が米国の農産物輸入を拡大することで両国が暫定的に合意、これと引き替えに15日から予定されていた対中関税引き上げは延期された。5%分の引き上げが仮に回避されなかったとしても、中国経済が決定的なダメージを受けることはなかったはずだが、今回の協議の結果が交渉決裂ではなく、一歩ずつではあるが両国が歩み寄ったということの意義が大きいと相場は判断した。

この上昇波動の強さには違和感もある。過熱感なき上昇、空売りを仕掛けた筋の全面撤退による踏み上げ相場の色が強い。刮目すべきは今の日経平均が因縁場ともいえる2万2000円台のボックス上限に位置していることだ。今晩のNYダウが首尾よく大きく切り返す展開となれば、円安含みに推移するドル・円相場との合わせ技で上限をブレークする可能性も高まる。ここまで各論勝負を主張してきたが、目先的には全体相場も波の上下動から潮流変化に向けた正念場を迎えている。

個別では、日本郵船<9101>や商船三井<9104>が年初来高値を更新するなど海運株に物色の矛先が向いている。米中対立の構図が緩んだとはいえ、これが世界景気減速懸念の後退と安易に置き換えられるものでもない。とはいえ、世界の物流ニーズを映すセクターという点で今の海運株の上昇はそれなりに意味を持つ。ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数は直近1900近辺。9月初旬に2500を上回っていたことを考えると、ずいぶんと高値圏からは調整を入れた水準にあるが、業種別指数を見る限り「海運」の株価動向は、最近ではバルチック海運指数の動きと必ずしも歩調を合わせる感じではなくなっている。ここは、新高値圏までまだ距離がある明治海運<9115>あたりをマークしてみたい。

このほか、株価が中低位に位置する銘柄に人気化するものが相次ぐ。国土強靱化関連でジオスター<5282>が、長い眠りから目覚めたような急動意をみせたが、業態は違えどもケミプロ化成<4960>などもこれに続く動き。そのなか、19年12月期復配を計画しながらPER9倍台、PBR0.4倍台と株価指標面で格安水準に放置されているリリカラ<9827>は株価水準も200円台前半と値ごろ感が抜群。意外な相場を形成する素地がありそうだ。

人工知能(AI)関連の中低位株で着目しておきたいのは図研エルミック<4770>。通信用ソフトウェアの開発・販売を手掛けるが、監視カメラ連携システム「Finder」シリーズではAIによる画像処理技術を活用するなど注目を要する。足もと業績面で懸念も拭えないが、来期以降の成長を読み込む流れとなれば上値思惑が強まりそうだ。

日程面では、あすは9月の訪日外客数が発表される。海外では9月の米小売売上高、8月の米企業在庫、米地区連銀経済報告(ベージュブック)。また、8月のユーロ圏貿易収支も開示される。韓国中銀の金融会合の結果(政策金利発表)も予定される。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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