【杉村富生の短期相場観測】 ─ トランプ政権の対中政策は微妙に変化!
「トランプ政権の対中政策は微妙に変化!」
●ペンス副大統領の演説は昨年と違う!
マーケットには、昨年10~12月の急落の再現を危惧する声がある。この業界は心配性の人が多い。しかし、今年は昨年とは違う。なにしろ、希望の令和である。いや、それだけではない。トランプ米政権の対中政策は微妙に変わった。相変わらず、市場関係者、および投資家は米中貿易協議の動向に一喜一憂している。だが、ここは流れ(トレンド→方向感)を重視するべきだろう。
ポイントは、ペンス米副大統領の演説にある。昨年10月4日にハドソン研究所(対中強硬派の拠点)での演説は「実質、中国に対する宣戦布告」と形容されるほど、過激なものだった。株式市場は「新冷戦時代」の到来と受け止め、これがショック安につながったのだ。さて、今年はどうだったか。
10月24日に実施されたペンス副大統領の演説は、その緩やかな内容に加え、会場(コンラッドホテル)が話題となっている。この演説は中道派のシンクタンクであるウィルソンセンターの行事として開催されたのだ。これは何を意味しているのか。それは中国向けのメッセージである。
どういう意味か。ウィルソンセンターは第28代大統領ウィルソン(民主党)を冠した外交政策研究所だ。中学生のころ、世界史で習ったと思う。彼は第一次世界大戦に参戦、国際連盟の創設に尽力した人物だ。国際社会に積極的に関わった。関税を引き下げ、貿易を促進した。
そう、トランプ大統領とは“真逆”の政治家である。ここに筆者はトランプ大統領の再選戦略に向けての微妙な変化を感じる。
●親子上場の解消がメインテーマに浮上!
もちろん、外部環境の好転は“株高”を示唆している。一方、物色面では親子上場の解消が話題となって、関連銘柄が人気を集めている。やはり、東芝 <6502> [東証2]の3社完全子会社化、三菱ケミカルホールディングス <4188> の田辺三菱製薬 <4508> に対するTOB、BEENOS <3328> によるデファクトスタンダード <3545> の完全子会社化などの効果が大きい。親子上場の解消は東証改革の“目玉”のひとつでもある。
こうした動きを背景に、内田洋行 <8057> 系のウチダエスコ <4699> [JQ]、図研 <6947> 系の図研エルミック <4770> [東証2]が急騰している。
時代に逆行しているのは、GMOインターネット <9449> だ。子会社8社が上場している。特に、GMOペイメントゲートウェイ <3769> の時価総額は親会社を圧倒している。これはコーポレートガバナンス的に、問題ではないか。
2019年11月22日 記
株探ニュース