来週の相場で注目すべき3つのポイント:米中絡みのヘッドライン、ブラックフライデー、米パウエルFRB議長講演

市況
2019年11月23日 19時43分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限23600-下限22800円

来週の日経平均は23000円を挟んだ往来相場が想定されるなか、3週間ぶりの反発を試す展開になりそうだ。米中貿易協議で年内の第1段階合意に不透明感が増してきたが、中国の劉鶴副首相がライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に対し、協議のために月内に訪中するよう招請したことが伝えられ、過度な警戒感は後退。いずれにせよ、NYダウ、日経平均ともに米中貿易協議と香港情勢のニュースに振り回される展開は続きそうだ。こうしたなか、27日にはMSCI新興国市場指数が、中国A株の比率引き上げを開始する。中国株にとって需給面でのプラス材料として働き、東京市場にも間接的な支援材料となる。ちなみに、25日には日経平均先物が中南米で初、海外ではシンガポール、米シカゴに続いて3例目となるブラジル市場B3(サンパウロ)に上場する。一方、25日の10月シカゴ連銀全米活動指数を皮切りに、12月第1週まで米国で各種経済指標の発表が集中する。その内容に神経質な展開を強いられることも予想される。米国市場は感謝祭のため26日に休場、翌27日に半日の短縮取引となることから、週後半は手控えムードも強まりやすい。ただ、22日現在の東証1部騰落レシオが113.01%と直近ピークだった12日の142.34%から低下して過熱感が後退する一方、日経平均の23000円割れ局面では押し目買い意欲の強さも確認できている。全般には先物主導のインデックス売買の影響の強さが継続しそうだが、需給的には市場推定で約4兆3000億円規模とされる3月期決算企業の9月中間配当の再投資が12月中旬まで見込まれ、その期待感が相場の下支えとして働いてこよう。2000年以降、11月最終週と12月第1週の日経平均は上昇確率が高いというジンクスもある。

物色的には、半導体関連などハイテク株に利益確定売りが先行するなかで、相対的に出遅れていた医薬品・食品といったディフェンシブ株や資源・エネルギー関連株に買いが広がってくるかが焦点となる。相対的にバリュー株(割安株)のパフォーマンスが注目されてきたが、26日にMSCIリバランスが予定されていることから、26日の大引けにかけて個別株の動きは注意が必要となる。また、29日の米ブラックフライデーに絡んだニュースも個別物色を刺激しそうで、消費関連、ネットショッピング関連銘柄に関心が向かいそうだ。ブラックフライデーの売上速報は、例年どおりなら12月1日か2日に出てくることになる。ブラックフライデーの前日となる28日はファーストリテイリング<9983>の株主総会で、小売・消費関連株は注目されやすい。

主な国内経済関連スケジュールとして、26日は10月企業向けサービス価格指数、28日はパリ・ユーロフィナンシャルフォーラムで黒田日銀総裁講演(12時30分から14時頃)、10月商業動態統計、29日は10月失業率・有効求人倍率、10月鉱工業生産、11月消費動向調査が予定されている。一方、海外主要スケジュールとして、25日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演、26日は中国アリババ集団が香港市場に上場、27日は米7-9月期国内総生産(GDP)改定値、米10月耐久財受注、28日は感謝祭で米国市場休場などが予定されている。

■為替市場見通し

来週のドル・円はもみ合いか。第1段階の合意に向けた米中通商協議の行方や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡る思惑が交錯し、方向感の乏しい相場展開となりそうだ。ただ、ドル安・円高に振れる局面ではドルの押し目買いが増える可能性があるとの見方が多いことから、引き続きドル・円は底堅い値動きが予想される。

米上下両院で可決した「香港人権・民主主義法案」をめぐる両国の関係悪化への懸念から、米中協議のすみやかな進展への期待はやや低下している。また、通商協議における「第1段階」の署名に関して、来年にずれ込むとの観測も浮上している。米中通商協議の先行きは依然として不透明であることから、ドル・円は狭いレンジ内での値動きが続くとみられる。20日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、目先は政策金利据え置きで一致したことが明らかになった。12月10-11日に開催されるFOMC会合での追加利下げ観測は後退したが、18日にパウエルFRB議長はトランプ大統領と会談しており、追加利下げを要請された可能性は否定できず、追加利下げを巡る市場の思惑が大きく後退する可能性は低いとみられる。

■来週の注目スケジュール

11月25日(月):国際通貨基金(IMF)が対日4条協議(経済審査)で記者会見、独IFO企業景況感指数、米パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演、ASEAN特別首脳会議など

11月26日(火):企業向けサービス価格指数、米・卸売在庫・新築住宅販売件数・消費者信頼感指数、アリババが香港上場など

11月27日(水):中・工業企業利益、米GDP改定値(7-9月)、米耐久財受注、米個人所得、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など

11月28日(木):日・小売売上高、黒田日銀総裁がパリ・ユーロプラス主催のフォーラムで講演、スイス・GDP(7-9月)、独・消費者物価指数、米・株式市場は祝日のため休場(感謝祭)など

11月29日(金):日・有効求人倍率・住宅着工件数・消費者態度指数・鉱工業生産指数、台湾・GDP(7-9月)、独・失業率、韓・中央銀行が政策金利発表、印・GDP(7-9月)など

《SK》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.