窪田朋一郎氏【強い日経平均、2万3000円台は最後の買い場か?】(2) <相場観特集>
―米中協議の部分合意接近の観測でリスクオン環境継続中―
週明け25日の東京株式市場は、前週末の米国株高を受け朝方からリスクを取る動きが優勢となり、日経平均株価は続伸となった。9月、10月相場の急上昇で到達した2万3000円台だが、11月相場のもみ合いを経て“高所恐怖症”からはだいぶ解放された感がある。こうなると、2万4000円台へのチャレンジがあるのかどうかに投資家の関心が高まるところ。第一線で活躍する市場関係者に年末に向けた相場の見通しと勘所を聞いた。
●「上昇トレンド変化なく、アベノミクス高値目指す」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
東京株式市場は、基本的に目先押し目はあっても大勢上昇トレンドに変化はなさそうだ。前週は利益確定売りにバランスを崩した東京エレクトロン <8035> をはじめとする半導体関連株だが、その後は下げ止まっており、これが投資家心理の悪化を防いでいる。
米中貿易協議については、まだ予断は許さないものの、直近の両国首脳の発言からは進展に向けた期待感をマーケットに与えている。また、FRBの国庫短期証券購入が“ステルス量的緩和”ではないかとの見方も広がっており、金融緩和的な外部環境が今後も続くなか、株高を後押しする格好となりそうだ。香港情勢は引き続き懸念要因だが、政府に批判的な民主派が区議会選挙で圧勝する見通しにあることで抗議デモも目先は沈静化しており、週明けの香港ハンセン指数も前週末に続き高い。これら諸条件を考慮して、東京株式市場も当面はリスクを取る動きが優勢となりそうだ。
日経平均は、年末相場で2万4000円台をうかがう動きとなり、場合によっては2018年10月2日につけた高値2万4270円(終値ベース)のアベノミクス高値奪回を目指す展開が想定される。米中協議や香港情勢に絡むネガティブ報道などで、瞬間的には前週21日のような波乱含みに下値を試す場面がないとも限らないが、そのケースでも2万2500円前後が下値メドとみている。
物色対象としては、全体が急な調整を入れた場合は、村田製作所 <6981> やTDK <6762> など電子部品株の押し目買いが有効だろう。また、順張りであれば、電機や機械などの景気敏感株よりもディフェンシブセクターが優位。特に、ここ非常に強い動きを示す電鉄(私鉄)株などに注目したい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース