NYの視点:米11月ISM製造業は予想外に悪化、中国や欧州は改善

経済
2019年12月3日 7時34分

米中貿易協議が進展し、部分的合意が実現するなど、一時の警戒感が後退し中国やユーロ圏の製造業の悪化が一段落している兆候が見られる。一方、全米の製造業活動を示すISM製造業の11月分は予想外の悪化となった。

米11月ISM製造業景況指数は48.1と、改善予想に反して10月48.3から悪化し、4カ月連続で50を割り込み、活動の縮小となった。中国の11月製造業PMIが改善し予想外に50を回復、活動の拡大を示したため、米国の製造業も改善が期待されていたが、結果は失望感に繋がった。

指数の重要な項目である新規受注は47.2と、景気後退時の2009年4月来の低水準となった8月と同水準に落ち込んだ。輸出が47.9と、再び50を割り込み、活動縮小となったことが受注を減少させたと見られている。雇用は46.6と、10月47.7から低下。

企業のコメントでは、「状況は10月とほぼ変わらず」「経済の不透明性が続いているが、将来のビジネス見通しは注意深く楽観的」。課題としては、引き続き、ドル高、貿易政策の不透明性などが挙げられた。

結果を受けてアトランタ連銀は10-12月期国内総生産(GDP)予想を1.3%成長と従来の1.7%成長から下方修正した。第4四半期の個人消費支出の伸びが+2.0%から+1.8%、実質国内投資の伸びは‐1.7%から?2.7%へそれぞれ引き下げられた。

米国の製造業の低迷が続く一方で、年末商戦に期待が集まる。特にオンライン販売は過去最高水準に達する見込み。果たして強い消費が弱い製造業を相殺し、引き続き米国経済の成長を支えていけるかどうかが今後の焦点になる。万が一、トランプ大統領が15日に、対中消費関連商品に追加関税を発動した場合には、米国経済の7割を占める消費にも影響を与え米国経済の成長悪化見通しがさらに強まることになり、ドルの売り圧力となる。

■米11月ISM製造業景況指数:48.1(予想:49.2、10月:48.3)

新規受注:47.2(10月49.1)

仕入れ価格:46.7(10月45.5)

生産:49.1(10月46.2)

受注残:43(10月44.1)

雇用:46.6(10月47.7)

入荷遅延:52.0(10月49.5)

在庫45.5(10月48.9)

顧客在庫:45.0(10月47.8)

輸出:47.9(10月50.4)

輸入:48.3(10月45.3)

《CS》

提供:フィスコ

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