明日の株式相場戦略=躍るテーマ株、個人マネー健在で二層化する相場

市況
2019年12月3日 17時49分

きょう(3日)の東京株式市場では日経平均が反落したものの、中小型株物色の流れはとどまるところ知らずといった印象を受ける。マザーズ指数や日経ジャスダック平均はプラスで引けている。個人投資家の意気盛んという構図は変わらない。

きょうは日経新聞などを通じて、政府が近く閣議決定する経済対策において2023年度までにすべての小中学生がパソコンなどのIT端末を利用できるようにする予算を盛り込む、と伝わったことが、その周辺株を動意づかせる形となった。これ自体は既に一般に浸透している話で、決してサプライズを伴うものではないが、上値余力のある材料株を渇望しているマーケットの思惑と合致、示し合わせたように値動きの軽い銘柄に投資マネーが集中する格好となった。当コーナーでも何度か取り上げてきたハイパー<3054>が上昇加速となったほか、アプライド<3020>、MCJ<6670>、パシフィックネット<3021>などが値を飛ばす格好となった。オフィス家具やパソコンを扱う商社で学校向けに太いパイプを持つ内田洋行<8057>は好決算で買われた前日に続き連日のストップ高と気を吐いた。システム開発関連、あるいはひと捻りしてDX(デジタルトランスフォーメーション)関連といった投資テーマは聞こえはいいものの、きょうの物色の中軸となったのは、ベタな“パソコン関連”というテーマ区分がピッタリくる。

もっとも、全体を見回してパソコン関連株が主役という相場でもなかった。きょうはストップ高で引けた銘柄が内田洋行のほか東証1部だけで4つもでたが、それぞれ買われる背景に共通項は見当たらない。

テーマ買いの動きとしては、自動ブレーキなどの安全運転サポート車の購入支援も政府予算による後押しが見込まれる分野だが、この流れで車載システムや電子デバイスを手掛ける銘柄群に上値指向を際立たせるものが多い。前日取り上げた車載カメラ向けコネクターを手掛ける本多通信工業<6826>は値幅制限いっぱいに買われる人気となった。同社株の場合、これまでは低調な今期業績見通しが、株価が安値圏で大きく出遅れる背景となっていたが、それだけに需給面で枯れ切っており、いったん“開門”すると怒涛のごとく資金が流れ込んでくる。こうした動きは理屈では説明がつきにくい株式投資のメカニズムを雄弁に語るものとして、次の銘柄を探す際のヒントにもなる。前日取り上げたsantec<6777>も感覚的には近い。5G関連で足もとの業績も好調だが、株価面で休養十分だったことで噴き上げるタイミングを待っている状況にあった。

新たに注目しておきたいのは、例えばグループウェアソフトの開発を手掛け、クラウドサービスに経営の重心を置くサイボウズ<4776>。11月28日に開けたマドをほぼ埋めると同時に、陽線で切り返したこのタイミングは好機にも映る。また、映像・監視カメラ分野を中心に通信用ソフトウエア開発で高い競争力を持つ図研エルミック<4770>も終値で年初来高値を更新し、新波動に入った可能性がある。この銘柄については近視眼的ではなく、少し視点を引いて、週足で17年8月以降のチャートを見れば、底値ゾーンからの離脱初動を思わせる魅力的な足だ。

このほか、建築物の下地や仕上げ材を手掛ける菊水化学工業<7953>は地味ながら、上げ足に勢いがある。今年4月からBASFジャパン建築用塗料の重要性を訴求する共同ブランディングを開始、マンションの大規模な修繕需要の取り込みで業容拡大が期待される局面にある。19年4~9月期営業利益は従来見通しを上方修正し前年同期比2.5倍の2億6400万円と好調、通期計画も上振れる公算がある。

番外編では、意外性のあるところで、現在は全くノーマークとみられるインタートレード<3747>なども材料株物色の波に動兆する余地があり目を配っておきたい。LINE<3938>とZホールディングス<4689>の経営統合でLINE証券の動きに改めて注目が集まりやすい。株式市場は思惑で動く要素が多く、証券会社向けディーリングシステムを手掛けるインタートレの株価を刺激する可能性は否定できないからだ。

日程面では、あすは国内では目立ったイベントは見当たらないが、海外では米国で11月のADP雇用リポートや11月のISM非製造業景況感指数の発表があり注目されそうだ。また、11月の財新中国非製造業PMIも開示される。このほか、7~9月の豪GDPの発表なども予定される。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2019年12月03日 18時43分

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