村瀬智一が斬る! 子年「有望株!」 <新春お年玉企画>
「新たなイノベーション巻き起こすか『5G/IoT』」
◆前年後半の流れを引き継ぎ株価上昇を想定
いよいよ2020年相場を迎える。平成から令和の改元という歴史の変わり目となった2019年相場は、米中貿易問題、日韓問題、英国ブレグジットなど、国際政治・経済問題に揺れた1年であった。特に米中貿易問題においては、両国による関税合戦が泥沼化し、金融市場に大きな影響を与えた。しかしながら、年後半に向けては貿易合意への進展期待などからリバウンド基調が強まり、2020年相場へ期待をつなぐ流れとなった。また、米国では主要株価指数が最高値を更新し、アップルやアマゾン・ドット・コム株などが株式相場を牽引。それらプラットフォーマーの頭文字を取った、FANG、GAFA、FANNGといった造語も出現したほどの人気ぶりであった。
20年の株式市場は基本的には上昇を想定する。引き続き米中貿易問題の進展を見極めながらの相場展開となりやすく、完全なる不透明感払拭までは期待しづらいところである。特に11月に米大統領選を控えているため、選挙の情勢次第ではトランプ氏の政策発言なども頻発すると考えられ、その都度、市場に混乱を与える可能性は気掛かりなところであろう。
英国のブレグジットについても、20年末までに離脱を目指すことになるが、それまでにも幾度か混乱をもたらす可能性があり、不安が燻る状況であろう。
また、国内では 東京オリンピック・パラリンピックの一大イベントが開催される。過去の株価動向からは五輪閉幕後には景気減速による株価下落が警戒される。消費増税によるキャッシュレス還元策も五輪前に終了していることもあり、より五輪閉幕後の反動に伴う景気減速の度合いが増すことも懸念されよう。
◆5G関連はハードからサービスへ物色がシフト
一方で、予想される景気減速の回避に向けては、大型経済対策における 国土強靱化策などの施策効果がみえてくるだろう。また、秋以降はアップルが5Gスマホを発売する予定であり、消費喚起を促すことが期待される。そして、この 5Gが一気に本格普及することで、新たな IoTビジネスが拡大し、 遠隔医療などのサービス需要も高まろう。さらに、5G/IoTが新たなイノベーションを巻き起こす可能性もある。5G関連では電子部品株がこれまで上昇を主導してきたが、今後は5G/IoTを活用したサービスへの需要増を物色の手掛かりとする流れが強まろう。
また、需給面においてもこれまでとは違う状況である。日経平均株価は昨年後半からの上昇によって過熱感を警戒する声も聞かれているが、先高期待から満腹状態で株を買っている投資家は皆無であり、機関投資家も大きくロングに傾いている訳ではない。要因としては日銀のETF買い入れや企業の自社株買いによる影響が大きいだろう。インデックス売買の影響により上昇している色彩が強く、通常のバリュエーション面での評価はできない。
PER面などでみれば割高との声も多く、それ故に下落を想定した日経レバなどの建て玉が積み上がった状況である。懐疑の中での上昇であったことから、ロングには傾いておらず、本格的な買いはこれからである。相場格言では「子年」は『子は繁栄』 、子には殖えるの意があり、新しい生命が種の中に萌(きざ)し始める状態と言われている。
2020年は東京オリンピック・パラリンピックの一大イベントのほか、5G/IoTサービスの本格普及、国土強靱化がメインテーマになりそうだ。そのほか、「 働き方改革法、改正健康増進法、改正民法の施行」、「小学校でプログラミング教育が必修化」、「習近平国家主席が来日」、「マイナンバーカードを使ったポイント還元策」、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が基本ポートフォリオを変更」、「レジ袋の有料化」などが話題になりそうだ。また、東証再編に向けた銘柄選定の詳細が明らかになるとともに、インパクトが見込める銘柄への物色は強まりやすいとみておきたい。下記のポートフォリオでは、これらに関連する銘柄を挙げている。
●村瀬氏のお薦め「2020年ポートフォリオ10銘柄」
TDCソフト <4687> 「ローカル5G」
JMDC <4483> [東証M] 「遠隔医療」
日本ホスピスホールディングス <7061> [東証M] 「看取り」
前田工繊 <7821> (国土強靭化)
サイバー・バズ <7069> [東証M] 「SNSマーケティング」
日本通信 <9424> 「電子証明」
エヌ・シー・エヌ <7057> [JQ] 「耐震住宅」
アセンテック <3565> 「働き方改革」
アイネス <9742> 「自治体向けシステム」
デジタルハーツホールディングス <3676> 「IoTデバック」
2019年12月27日 記
★元日~6日に、2020年「新春特集」を一挙、“26本”配信します。ご期待ください。
株探ニュース