活躍本番「直近IPO」銘柄、新春相場の人気アノマリーに乗れ! <株探トップ特集>
―“掘り出し”銘柄多く投資妙味膨らむ、フリーやマクアケなどがリード役に―
2020年相場が始まり、大発会の6日はイラン情勢への懸念から日経平均株価は一時500円超の下落と波乱のスタートとなったが、7日の相場は急反発した。依然として不透明感は強いが、そんななか市場の注目を集めているのが「直近IPO銘柄」だ。12月のIPOラッシュが一巡した1月の新春相場は、直近IPO銘柄が人気化しやすい季節だ。直近IPO銘柄には新鮮味があるうえに、割安に放置されたままの“掘り出し物”も少なくないだけに投資妙味は大きい。
●1~2月は中小型株が飛びやすい時期、直近IPOが物色の華に
7日の東京株式市場では直近IPO銘柄が人気化。クラウド会計ソフトを手掛け昨年12月に東証マザーズに新規上場したフリー <4478> [東証M]や初のクラウドファンディングの上場企業として注目を集めるマクアケ <4479> [東証M]などが値を上げた。
例年1~2月は直近IPOを含めた中小型株が人気を集めやすい時期だ。この要因としては、「12月のIPOラッシュが終了し、市場には新鮮味のある多数の直近IPO銘柄が出揃っていること。また、新年相場が始まったばかりの1月は全体市場の方向性が定まりにくく東証マザーズやジャスダックの新興市場銘柄が人気化しやすいこと」(中小型株アナリスト)が指摘されている。特に、次のIPOラッシュを迎える3月までは端境期となることもあり、直近IPO銘柄は人気となりやすい。このため“新春相場の物色の華は直近IPO銘柄”というアノマリー(経験則)が市場にはある。
●12月IPOは高人気、初値4倍高のウィルズほか急騰銘柄が続出
昨年12月には22銘柄のIPOが登場した。このうち初値が公開価格の4.7倍に急騰したウィルズ <4482> [東証M]を筆頭にAI inside <4488> [東証M]やスポーツフィールド <7080> [東証M]など上昇率が2倍を超えた銘柄は多く、買い殺到で上場初日に値がつかない銘柄も少なくなかった。12月は資金吸収額が大きいIPO銘柄も目立ったが、初値が公開価格を下回ったのは2銘柄にとどまった。全体相場が上昇基調を強めたことも追い風となり「IPO銘柄への高い人気をみせつけた」(市場関係者)格好だ。
そのIPOへの関心はセカンダリー市場(流通市場)へと移り、新たな局面を迎えている。新規上場時には、相場環境が悪かったり他の注目銘柄と同時上場となったことで、株価が割安に放置されている銘柄も少なくない。また、上場時に人気化し株価が高騰した後、一転して利食われ必要以上に売り込まれる銘柄も多い。そんな割安銘柄をじっくり仕込むのに、いまは絶好のタイミングだ。
●公開価格割れや低時価総額銘柄には注意が必要
直近IPO銘柄への投資のポイントとしては、独自のビジネスモデルを持ち成長性の高い銘柄を狙うことや、好業績が続くことなどが挙げられる。加えて前出の中小型株アナリストは、「第1には売買開始後の株価が公開価格を大幅に下回っていないこと。第2には高値からの下落率が3割程度にとどまっていること。第3には時価総額が50億円強はあること」などを直近IPO銘柄への投資のチェックポイントとして挙げている。
あくまでも個別銘柄の内容によるが、一般的には公開価格を大きく下回っていたり、高値からの下落率が大きかったりした場合は注意が必要だという。また、新規上場の際は想定時価総額が小さい銘柄の方が初値は飛びやすいが、流通市場に移ってからは時価総額の小ささは投資家が成長性に疑問を持っているとも受け止められ積極的な買いは入りにくい。
そんななか、今後もフリーやマクアケが先導役となり直近IPO銘柄が新春相場の牽引役になるとの期待は強い。以下、昨年10月から12月にかけ登場した直近IPO銘柄のなかから注目銘柄を挙げてみた。
◎AI CROSS <4476> [東証M]>~10月8日にマザーズに上場。SMSメッセージングサービスやビジネスチャットサービスの開発・提供などを行っている。AI分析にも強み。12月初旬に高値をつけた後、調整局面にあり反騰期待が高まる。
◎JMDC <4483> [東証M]~12月16日にマザーズに上場。日本最大規模のレセプトデータベースを持つ医療ビッグデータ会社。遠隔医療にも絡み注目されている。時価総額は1000億円強と大きいが高成長性を評価。
◎ランサーズ <4484> [東証M]~12月16日にマザーズに上場。個人で仕事を請け負うフリーランスと企業をマッチングさせるウェブサイトを運営している。当初想定の公開株式数が大幅削減されたことなどが注目されたが、その分、値は飛びやすくなっている。10万円前後から投資できることも魅力。
◎JTOWER <4485> [東証M]~12月18日にマザーズへ上場。通信インフラシェアリング事業が主な事業。5Gの普及に伴う通信キャリアの設備投資効率化が追い風となる。20年3月期業績は営業赤字予想も来期の黒字転換が期待されている。
◎アンビスホールディングス <7071> [JQ]~10月9日にジャスダックへ上場。終末期・慢性期のケアに特化した住宅型有料老人ホーム「医心館」の運営を手掛ける。20年9月期の連結営業利益は前期比6割増で最高益予想。好業績を評価し、株価には一段高期待。
◎ダブルエー <7683> [東証M]~11月1日にマザーズに上場。婦人靴の企画・販売を手掛け国内外で事業展開。香港デモと台風の影響を受け12月に業績を下方修正した。ただ、悪材料を織り込み、株価には目先反発期待も出ている。
◎BuySell Technologies <7685> [東証M]~12月18日にマザーズに上場。出張買い取りを中心とするリユース商材の買い取りを展開。50代以上のシニア層の遺品整理や生前整理などのニーズにも応えている。
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