【杉村富生の短期相場観測】 ─ アメリカ、イランともに軍事衝突を回避!

市況
2020年1月12日 9時15分

「アメリカ、イランともに軍事衝突を回避!」

●ジャッジメンタル・アプローチの有効性!

2020年新春相場は大発会以来、波乱の幕開けである。日経平均株価は激しい乱高下を繰り返している。主因は中東情勢(アメリカとイランの対立)にあろう。さらに、“機械”(AI=人工知能)によるシステム売買が値動きを上下に増幅させている。

すなわち、売り買いともに一方通行になりがちだ。これは、価値観が同質な機関化現象の弊害といえるだろう。仮に、多種多様な価値観を持つ個人投資家が主力であればこんな状況にはならないと思う。

さて、この構図はトランプ米大統領のツイッター(米中貿易協議を巡る)に一喜一憂していた昨年の展開と同じではないか。

ただ、筆者は昨年10~12月にペンス米副大統領の6月4日(天安門事件30周年)の演説中止、10月24日の国際協調、自由貿易論者である第28代大統領ウィルソンを冠したウィルソンセンターの行事の一環としての演説を引き合いに出し、「トランプ政権は中国との和解を望んでいる」と強調した。この手法(ジャッジメンタル・アプローチ)は中東情勢について、十分に使えるし有効である。

今回は、アメリカ市場での物色動向が参考になる。バグダッドにおいて、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害(1月3日未明)された後、ロッキード・マーチン、クラトス・ディフェンスなどの防衛関連株が買われたのは1日だけだった。逆に、ビヨンド・ミートなど、食品セクターが急騰した。これは何を意味しているのだろうか。

●徹底した逆張り戦法を採用!

これはアメリカ、イランともに紛争拡大を望んでいない、ということだ。全面的な軍事衝突に発展すればイランに勝ち目はない。トランプ大統領としては今秋の再選を控え、原油価格の高騰、世界景気の減速リスクを避けたいところだろう。

この結果、両国はとりあえず自重する。そもそも、ミサイル(16発)を打ち込むのに、数時間も前に「さあ、撃ちますよ」と事前通告する“戦争”などあるものか。うち、5発は標的を外している。

一方、ここでの投資戦術は機敏に対応する短期・順張り投資は別にして、じっくり型の長期・逆張りの人(投資家)は、みんなが「売りだッ~」と叫んでいるときに静かに買って、「買いだッ~」と総強気になった局面は売り上がる。この作戦が効果的である。

具体的な銘柄としては引き続いて日本ドライケミカル <1909> 、広栄化学工業 <4367> [東証2]、インスペック <6656> [東証2]を軸に、バルテス <4442> [東証M]、ファーマフーズ <2929> [東証2]などに注目できる。

ファーマFは急騰した後、一服しているが、時価680円絡みは積極買いの一手だろう。育毛剤「ニューモ」が爆発的にヒットしているほか、国立がん研究センター(工藤千恵ユニット長)と共同開発中の新規がん治療抗体の薬効は「オプジーボ」に匹敵するか、それ以上といわれている。

2020年1月10日 記

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