来週の相場で注目すべき3つのポイント:11月分機械受注、米ベージュブック、米中貿易合意第一段階署名

市況
2020年1月11日 19時46分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限24350-下限23650円

来週の日経平均はもみ合い商状が想定される。イラン情勢が緊張緩和の方向に転じたことで、2020年1月第1週の日経平均は上昇スタートとなった。ただ、依然として中東の地政学リスクはくすぶっている。ひとたびトラブルが再発すれば「株安」「円高」「原油高」のトリプルデメリットが東京市場を直撃することになる。また、中国の劉副首相が13日からワシントンを訪れ、15日に米中貿易協議の第1段階の合意について両国が署名する予定と報じられているが、その後の展開はまだ不透明だ。翌週の20日にはカナダ・バンクーバーで、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長身柄引き渡し審理が開始される。このほか、大発会の日経平均の急落では、中東問題のほか米国の12月サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が10年ぶりの低水準に落ち込んだことが下げ材料として働いた。日本時間16日夜には米12月小売売上高が発表される。米国の経済指標の発表にも注意が必要だ。中東の地政学リスク、米中貿易協議、米国景気の動向に神経質な展開となることが予想される。指数インパクトの大きいファーストリテイリングが2020年8月期通期営業利益予想を一転して減益見通しへ下方修正し、指数の上値を抑える形にもなっている。ただ、成長期待の大きいハイテク株の押し目を拾う動きが強まっており、日経平均は底堅い動きを強めていることも事実だ。なお、翌週20日はキング牧師生誕記念日で米市場が休場となることから、週後半は買い手控えムードが強まる見込みである。

物色面では、大発会から10日まで5日続伸となっており、ハイテク株の象徴的な存在でもあるソニー<6758>が注目される。2020年の年末商戦に発売を目指すとされる家庭用ゲーム機「プレイステーション5」に続き、自動運転EVのコンセプトカーを発表したことが関心を集めている。15日から17日まで東京ビッグサイトで「自動運転EXPO」が開催される予定となっており、関連銘柄の刺激材料となりそうだ。このほか、16日は皇居で「歌会始の儀」が行われる。株式市場では発表される翌年のお題を材料視する傾向がある。ちなみに、2020年のお題は「望」であった。このほか、翌週23日の日本電産<6594>から3月期決算企業の第3四半期決算発表がスタートする。地合いが好転してくれば、決算期待の高い銘柄に先回り的な買いが入る可能性がある。

主な国内経済関連スケジュールについては、13日は成人の日で東京市場が休場、14日に11月国際収支、12月景気ウォッチャー調査、12月消費者物価、15日に12月マネーストック、日銀支店長会議で黒田日銀総裁挨拶、地域経済報告(さくらレポート)、16日に11月機械受注、12月国内企業物価指数、17日に11月第三次産業活動指数が予定されている。

■為替市場見通し

来週のドル・円は伸び悩む展開が予想される。中東情勢の緊張状態はある程度緩和されており、リスク回避的な取引は縮小しつつある。ただ、来週発表される12月消費者物価指数など米国のインフレ関連の経済指標が、現行の米金融政策に大きな影響を与える可能性は低いとみられる。米国金利の先高観が再浮上するとの見方は少ないことから、インフレ関連の経済指標が市場予想と一致してもドルの上昇は小幅にとどまりそうだ。

中国の劉鶴副首相は1月13日からワシントンを訪れる予定で、米国との通商協議における第1段階の合意署名への期待が広がっているが、米中通商協議における最終的な合意形成は2021年以降になるとの見方も出ている。そのため、第1段階の合意署名を受けてリスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。ドル・円は心理的節目の110円に接近しているが、現時点でこの水準を明確に突破するだけのドル買い材料は揃っていないとの見方が多い。14日に発表される12月の米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+2.3%でインフレ率は11月実績と同水準と予想されており、ドルの押し上げ要因にはなりにくいだろう。

市場参加者の間では「米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年末まで現行の政策金利を維持する可能性がある」との見方が広がっており、早期の追加利下げは想定しづらい。しかしながら、インフレ、雇用関連の経済指標が市場予想を大幅に上回る状況にならない限り、利上げも見込めない状況が続くと予想される。

■来週の注目スケジュール

1月13日(月):国内株式市場は祝日のため休場(成人の日)、英・鉱工業生産指数、英・商品貿易収支、中国の劉鶴副首相が貿易合意署名のため訪米など

1月14日(火):日・国際収支、貿易収支、景気ウォッチャー調査、米・消費者物価コア指数、中・貿易収支など

1月15日(水):日・工作機械受注、英・消費者物価コア指数、米中両国が「第1段階」の貿易合意に署名の予定、米・ベージュブックなど

1月16日(木):日・コア機械受注、中・新築住宅価格、欧・新車販売台数、米・輸入物価指数、TSMC決算発表、南ア中銀が政策金利発表など

1月17日(金):日・訪日外国人客数、中・GDP(10-12月)、中・小売売上高、米・住宅着工件数、韓・中央銀行が政策金利発表など

《SK》

提供:フィスコ

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