サウジアラビア「情報を米国に漏らしていない」、ソレイマニ司令官殺害から見る中東力学【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析】

経済
2020年1月14日 16時47分

サウジアラビアが慌てて(?)暗殺について、相談もされていないという声明を出した。ある噂とイラク首相の声明から、イランとサウジアラビアの間に、イエメンや中東全体に対することについての交渉が進められているとされていた。サウジアラビアの言い分としては、「彼が交渉としてやってくるという情報を米国に漏らしていませんよ」と言いたかったのかもしれない。そのような前提があれば、ソレイマニがあまり自分の行動を隠さないでイラクに到着したということについても説明がつくと思われる。

ソレイマニは国連決議を経てイランからの出国禁止の身分であったはずなので、彼を交渉役として派遣することはやや不自然と言えば不自然であるが、イランの仇敵であるはずのサウジアラビアがこの殺害劇を手放しで喜んでいないのが、中東の複雑怪奇な様子を物語っていると感じる。

米国が地域にあまり関与しない素振りを見せると、サウジアラビアなどの国はその武力に頼れないため、上記の噂の他に比較的穏健に外交・交渉でバランスを取り始めることも散見された。国家間における中東の紛争・混乱具合は、米国の撤退によって実は収まるという見方もできるかもしれない。

地経学アナリスト 宮城宏豪

幼少期からの主にイギリスを中心として海外滞在をした後、大学進学のため帰国。卒業論文はアフリカのローデシア(現ジンバブエ)における経済発展と軍事支出の関係とその周辺の要因についての分析。大学卒業後は国内大手信託銀行に入社。現在、実業之日本社に転職し、経営企画と編集(マンガを含む)も担当している。歴史趣味の延長で、日々国内外のオープンソース情報を読み解いている。

《SI》

提供:フィスコ

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