来週の株式相場戦略=目先調整一巡か、WHO「非常事態宣言」機に反発模索

市況
2020年1月31日 17時40分

今週の東京株式市場は、中国発の「新型肺炎」一色の展開となった。国内で新型コロナウイルスの人から人への感染が認められたことも契機となり、週間ベースで日経平均株価 は、600円強下落した。市場では主力株が売られる一方で、新型肺炎の関連株が乱舞した。

30日には日経平均株価が11月1日以来、約3カ月ぶりに2万3000円ラインを割り込んだ。ただ、昨年8月安値2万110円から今年1月高値2万4115円までの上昇幅の3分の1押し(2万2780円)近辺まで株価は下落したことから、「目先、値幅調整は一巡したのでは」(市場関係者)との見方も出ている。

ひとつのきっかけとなるとみられるのが、世界保健機関(WHO)が30日に「非常事態宣言」を行ったことだ。2002~03年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合、「WHOが03年3月に非常事態を宣言するのと時期を一致して、NYダウは上昇に転じた」(アナリスト)という。今回の新型肺炎でもWHOによる本腰を入れた対策も期待されており、「SARSの時を参考にすれば、相場は底打ちを模索する局面」(同)とも言える。もちろん、SARSと今回の新型肺炎は単純な比較が難しいが、相場は底打ちに向けたひとつの転機を迎えているのかもしれない。

来週は3日に中国・上海市場が取引を開始する。新型肺炎が世界の金融市場を直撃した時期に、中国市場は長期休場にあっただけに「3日の上海総合指数は数%急落する可能性も」(市場関係者)指摘されている。ただ、中国市場が再開すれば、世界の金融市場はいったん新型肺炎を織り込んだと言えるかもしれない。とは言え、日経平均の上値は依然、重く25日移動平均線(2万3682円)を上値目標に下値固めを続ける展開が予想される。

来週は、3日に村田製作所<6981>、4日にソニー<6758>が決算発表を行う。なかでも、市場の中核銘柄となっているソニーの決算内容は注目される。6日にはトヨタ自動車<7203>、7日にはソフトバンク<9434>の決算が予定されている。

海外では3日に米1月ISM製造業景気指数が発表される。同日から米大統領選挙の予備選挙が開始される。5日の米1月ADP雇用統計を経て、7日には米1月雇用統計が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万2950~2万3500円。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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