新興市場見通し:市場不安定化がマザーズ直撃、今週は決算本格化や今年最初のIPO
先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も大きく下落した。新型肺炎の感染拡大への懸念から日経平均が1月27日、30日と400円を超える大幅下落を記録。株式市場の不安定感が強まり、中小型株にもリスク回避目的の売りが広がった。マザーズ指数は30日の取引時間中に805.55ptと19年1月以来の安値を付け、日経ジャスダック平均は週間で17週ぶりの下落となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.6%であったのに対して、マザーズ指数は-5.3%、日経ジャスダック平均は-3.3%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で1.1%安となるなどマザーズ時価総額上位は全般軟調。Sansan<4443>は同8.7%安、ラクス<3923>は同11.1%安となり、これまで期待が高かったSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業も値を崩した。個人投資家のセンチメントを映すバイオ関連株ではそーせいグループ<4565>が同8.3%安、サンバイオ<4592>が同9.6%安。売買代金上位では決算が嫌気された弁護士ドットコム<6027>が大幅安となり、トランザス<6696>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。反面、好決算のマクアケ<4479>などは逆行高となり、ソーシャルワイヤー<3929>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力もワークマン<7564>が同6.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同4.8%安、セリア<2782>が同4.3%安と全般軟調。売買代金上位では医学生物学研究所<4557>が決算発表による材料出尽くし感から売られ、クリエアナブキ<4336>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、引き続き肺炎対策を巡る思惑から興研<7963>や重松製作所<7980>が買われ、中京医薬品<4558>は連日のストップ高となった。株式相場全体が軟調となり、これら銘柄に物色が集中したとみられる。リプロセル<4978>も一部報道を受けて賑わった。
今週の新興市場は、引き続き不安定な相場展開を強いられそうだ。1月31日の米国市場でNYダウは603ドル安と急反落。新型肺炎を巡る株価調整は一時的との見方も根強くあるが、世界的に感染拡大が続いていることから、株式市場が落ち着きを取り戻すにはなお時間を要するだろう。31日のマザーズ売買代金は600億円を下回り、押し目買い機運の乏しさを窺わせる。マザーズ指数はおよそ1年1カ月ぶりとなる800pt割れも視野に入る。
今週は、2月3日に手間いらず<2477>、アンジェス<4563>、オリコン<4800>、4日にセプテーニ・HD<4293>、ワークマン、5日にJTOWER<4485>、6日にメルカリ、メイコー<6787>、7日にミクシィ<2121>、JMDC<4483>、東洋合成工業<4970>などが決算発表を予定している。新興市場でも19年10-12月期決算発表が本格化。JTOWERやJMDCは19年12月の上場後初の決算発表となる。
IPO関連では、2月7日にコーユーレンティア<7081>がジャスダックへ、ジモティー<7082>がマザーズへそれぞれ新規上場する。1カ月以上のIPO空白期間明け、かつ今年最初のIPOであり、個人投資家の関心は高いようだ。なお、先週はカーブスHD<7085>(3月2日、東証1部または2部)、きずなHD<7086>(3月6日、マザーズ)の新規上場が発表されている。カーブスHDは国内初の「スピンオフ上場」となる。
《FA》
提供:フィスコ