明日の株式相場戦略=資金シフト、好業績+テーマ性がカギ握る

市況
2020年2月3日 17時48分

名実ともに2月相場入りとなった週明け3日の東京株式市場は、前週末の米株急落を受けリスク回避の流れが再び優勢となった。ただ、大引けを迎えた段階では「意外に強かった」というのが市場関係者の本音ではないか。日経平均は寄り後早々に430円安と大きく突っ込んだが、売り一辺倒に傾く展開とはならず、下値では国内機関投資家の実需買いやヘッジファンド筋の空売り買い戻しが車輪止めの役割を果たした。

ここでの底堅さはセリングクライマックスの可能性を後ろにずらしているという見方もできなくはない。したがって必ずしも光明とは言えないのだが、今の波乱含みの相場が大勢トレンド崩壊につながる入口とは考えにくい。

きょうは、中国・上海株市場が11日ぶりの取引再開ということもあってギャップダウンで急落したが、市場では「8%程度の下げであれば想定内」という声が強かった。香港ハンセン指数については底堅さを発揮し、前週末終値近辺で強含みに推移した。メディアの報道だけを切り取ると、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大はもはやただ事ではないという印象を投資家に強く与えている。2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の時の感染者数を既に超えており、SARSより毒性は低いものの中国内の死亡者数ということであれば、これも既に上回った。

世界経済に与える影響という点でも看過できない局面となったことは否定できない。具体的には主に中国の個人消費の落ち込みと製造業のサプライチェーン・リスクが挙げられる。市場関係者によると、「株価的なモノサシでみるとS&P500指数の調整幅は、SARSの時より今回の新型肺炎の方がまだ大分浅く、日柄的にも市場を揺らして2週間あまりと短いだけに、相場が織り込む段階にはまだ遠いのではないか」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。投資家にすれば悲観に傾く必要はなく、これまで通り仕込み好機との認識でよいと思われるが、中長期スタンスで押し目買いに動くにはもう少し日柄的に様子を見る必要があることを示唆している。

いずれにせよ、悲観は無用だ。危機感の浸透は対策を生む。したがって買い場は必ず訪れる。中国人民銀行は、公開市場操作を通じ1兆2000億元、日本円にして18兆7000億円という大規模な資金供給を行うことを発表した。きょうのアジア株市場の動きを見る限りこれ自体が大きく評価された感触はないものの、今後FRBなど米国をはじめ世界各国でも流動性供給(量的緩和的政策)の動きを促す可能性がある。怪我の功名といっては語弊があるが、景気減速懸念との綱引きで結果的に金融相場の素地を再び復活させるケースも考えられる。経済への影響がどの程度となるのかは現時点で試算するのは困難であるし、それを待っていることにあまり価値はない。投資の好機という観点では、新型肺炎の感染拡大ペースが鈍化するアナウンスを待つのが実践的なタイミングといえそうだ。

個別では、きょうは新型肺炎の対策関連で買われていた一連の銘柄が一斉に利益確定売りの洗礼を浴びた。これは仕方のないことで、感染者が増え続けている間、株価も上がり続けるなどということはない。これに代わって、決算発表に絡み好実態株に資金シフトする動きが一部で顕在化した。Jストリーム<4308>、アイティメディア<2148>、都築電気<8157>、アクモス<6888>、富士山マガジンサービス<3138>など、好決算にプラスして時流に乗るテーマ性を有する銘柄に投資家の視線が熱いようだ。

日程面では、あすは取引開始前に1月のマネタリーベースが日銀から発表される。引け後には1月の財政資金対民間収支が財務省から開示。また、10年物国債の入札も予定されている。海外では、トランプ米大統領が一般教書演説を行うほか、12月の米製造業受注の発表がある。このほか、豪州中央銀行の政策会合も行われる。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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