大塚竜太氏【新型肺炎感染拡大、相場の先高観は消えたか】(2) <相場観特集>

特集
2020年2月3日 19時45分

―米株急落でざわつく、更なる下値リスクに身構える市場―

名実ともに2月相場入りとなった週明け3日の東京株式市場は、再び突風にあおられるように日経平均は一時430円の下落をみせ2万2000円台に沈んだ。新型コロナウイルスによる中国肺炎患者の拡大が止まらず、リスクオフムードを助長している。本格化する企業の決算発表も楽観が許されない状況下にあって、ここからの相場をどうみるか。第一線で活躍する市場関係者に見通しを聞いた。

●「2万3000円以下は買い下がり一貫で」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

新型肺炎の感染拡大が続いているとはいえ、過度に悲観する必要はなく、むしろ今は乗り遅れた投資家に押し目買いのチャンスを与えている。中国では消費の落ち込みが想定され、その意味では確かに世界経済に与える影響も回避できないが、世界景気の腰を折るようなことにはおそらくならない。売りの口実にはなるが、一過性の要因であることを理解しておくべき。肺炎患者は遅かれ早かれ拡大ペースが鈍り、時間はかかっても収束に向かうわけで、これが株式市場の大勢トレンドを下向きに転換させるようなことはない。

投資家としては買う気持ちの起きにくい相場だが、だからといって売り方が儲けられるような相場ともいえない。日経平均は大幅安の後に大幅高するケースも多く、要はボラティリティが激しいだけで、新たなトレンドは発生していない。

日経平均の下値としては、ここから一段の深押しがあったとしても2万2000円ラインを下回るようなことはないだろう。つまり、2万3000円以下は基本的に買い下がっていく方針で報われると思う。中国では人民銀行が多額の資金供給を決定したが、今後も中国政府が景気対策を段階的にリリースしていく可能性は高い。そしてこれは、中国以外の国も同様で、今後は実勢悪と政策期待との綱引きという形で全体相場はバランスを立て直すと考えている。国内企業の決算発表については1~3月の底入れ観測が結果的に後ずれすることになるだろうが、あくまでこれは突発的な事象によるもので、後にずれ込んでも業績は回復方向に向かっているとの認識があれば、株は買える。

物色対象としては、米株市場を横目に売り込まれている半導体関連は悪目買い好機。東京市場でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)に連動安するような銘柄が相次いでいるが、東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> など製造装置関連をはじめ押し目は買いで対処したい。また、資生堂 <4911> など過剰に売り込まれている中国消費関連(インバウンド関連)の戻りにも期待したい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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