上海市場に再び灯った『注意信号』、日本株も警戒水域に到達か? <東条麻衣子の株式注意情報>
前回の本コラム「日本株は目先の高値を打ったか? 米中第1弾合意も残された懸念」(1月16日配信)で指摘した通り、上海総合指数は 新型コロナウイルスの感染拡大による中国経済への影響が懸念されて、春節の長期休場明け後に騰落レシオに連動するかのように大きく下落した。
その後、中国人民銀が2日間で金融市場におよそ27兆円もの巨額資金供給を行ったことや、財政出動など中国の政策期待もあってか反発に転じている。
上海総合に比べると日経平均株価の振れ幅は小さいが、波形は比較的に似通ったものになっていることがわかる。
このまま上海総合が戻りを試すようであれば、日経平均も比較的底堅い動きが続くかもしれない。だが、上海市場の代表銘柄で構成される上海50A株指数の騰落レシオに再び注意信号が灯っていることに注意したい。
上海総合と上海50A株指数の騰落レシオ(5日)の動きを下記にご紹介する。
●上海50A株指数の騰落レシオ200乗せと上海総合の高値日との関係
騰落レシオ 上海総合
258.209(2018/7/25) 高値 2912.31(2018/7/25)
206.329(2018/8/27) 高値 2778.53(2018/8/28)
211.688(2018/9/28) 高値 2827.34(2018/9/26)
293.548(2018/12/4) 高値 2666.07(2018/12/4)
236.111(2019/4/8) 高値 3251.64(2019/4/9)
293.443(2019/6/24) 高値 3045.36(2019/7/1)
282.813(2019/10/14) 高値 3026.38(2019/10/14)
252.941(2019/12/17) 高値 3039.38(2019/12/17)
261.194(2020/1/6) 高値 3107.94(2020/1/15)
233.333(2020/2/10) 高値 ?
上海50A株指数の騰落レシオが200を越えると、その日もしくはその前後数日以内に目先の高値を付ける傾向がうかがえる。
本稿を執筆時点(2月10日)の上海総合指数は、1月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る結果だったことも好感されてプラス圏で終えている。しかし、上記のデータを見る限り、直近高値を付けた可能性があるのではないか。
また、今月末から来月にかけて、新型コロナウイルスによる景気への影響が中国の経済指標に表れてくることを考えると、そろそろ買いにくいと考える市場参加者も次第に増えてくるだろう。
コロナウイルス懸念が急速に広がり始めた1月末から、日経平均は米国と中国の両株式市場を強く意識した神経質な動きをみせている。
上海総合が今回も騰落レシオのサイン通りに直近高値を付けたとするならば、日本株式市場も再度リスクオフへの傾斜を強める可能性があることに注意を払いたい。
(2020年2月10日 記)
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。
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